研究課題/領域番号 |
22K04245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
前田 幸治 宮崎大学, 工学部, 教授 (50219268)
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研究分担者 |
藤澤 剛 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (70557660)
荒井 昌和 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90522003)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 超格子構造 / 中赤外光源 / MOVPE法 / バンド計算 / フォトルミネッセンス / 励起光強度依存性 / エネルギーバンド計算 / 発光の温度-励起強度ダイアグラム / 発光遷移図 / PLスペクトル / MOVPE / InAs/GaSb / 中赤外線 / 超格子 / バンド構造 |
研究開始時の研究の概要 |
中赤外線領域(2-10 μm)は、分子の吸収が近赤外領域より桁違いに大きく、微量物質の検出などで最適の波長帯である。量産性の高い有機金属気相成長法を用いた超格子構造を作製し、これまでにない広帯域発光光源を実現する。従来の発光デバイスは、超格子に由来する量子準位間の最低のエネルギーであるバンドギャップ付近の発光を中心に利用していた。本課題で取り組む新しい方法は、超格子構造より計算で求めた電子の状態密度と電子占有状態に基づいて、広範囲の準位からの発光も利用する。これにより、これまで実現されていない約3 μm幅を持つ非熱的高効率広帯域 中赤外発光光源の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、InAs/GaSb超格子構造を用いて中赤外光源として利用できる、室温付近で広い発光スペクトルを持ち、強い発光を得られる素子を作製することが目的である。2022年度に、実際の超格子構造の作製に先立ち、まず2種類の超格子構造について5Kから300Kまで、の温度および、10^21から10^25/m^3の範囲の励起キャリア密度の組み合わせでエネルギーバンド計算を行い、自然放出による発光スペクトルの励起強度依存性と温度依存性を詳細に検討した。その結果、発光の温度-励起強度ダイアグラムは大きく3つの領域に分けられることを明らかにした。特に、室温付近の発光を支配するのは最低の準位間ではなく、それより大きなエネルギーをもつ下から2番目、3番目の準位間の設計が重要であることを示すことができた。 引き続き2023年度はまず、前年度に行ったバンド計算結果とその考察に基づいて約15個の超格子サンプルをMOVPE法により作製し、中赤外発光を測定した。成膜温度の最適化はできたが、予想に反してその結果はほとんどの試料で弱い発光しか得られなかった。これは、計算で考慮していなかった部分の構造に問題があると考え、キャップ層やバッファー層を変化させて改めて試料を作成した。 次にそれらの発光が、どのようなバンド構造に由来するかを知るために、各温度のバンド図から発光遷移図を作成し発光準位との対応を行った。その結果、低温低励起状態から中温中励起状態への変化は、順位の計算結果と実際の発光スペクトルが傾向としては一致していた。しかし、強励起状態では、低温から短波長部分が一致しない現象が見られた。この原因は、まだ説明できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作製に先立って行ったバンド計算は計画通り進んだ。その後、MOVPE法により、計算された構造の第1回目の試料の作製を行った。作製された超格子の中赤外発光評価のためのPL測定装置の検出器の真空漏れの故障により測定は半年ほど遅れた。また、昨年度故障して交換したプリアンプのノイズにも悩まされている。しかし、格子整合系において発光強度が強くなると考えられる超格子構造の評価は行えており、格子不整合系と同等のPL強度が得られている。2023年度後半は、測定装置の不調により前半に低温実験が行えなかったので、学会発表はあまり行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2度の試料作製を行い、1回目は、PL強度が全体として弱い原因を確かめ、2回目は、超格子試料の厚さを変化させてPL強度やスペクトルが計算結果と同様の振る舞いを示すか確かめる予定である。測定装置の調子は良くないが、低温測定を引き続き行いたい。 短波長側で一部計算と一致しない発光の振る舞いがあるので、その原因を探りたい。これまでの成果を国際会議で発表して海外の研究者と意見交換を行いたい。
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