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大気圧低温プラズマを用いたポリマーブレンド膜表面へのダブルラフネス構造の形成

研究課題

研究課題/領域番号 22K04251
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
研究機関香川高等専門学校

研究代表者

山本 雅史  香川高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (60733821)

研究分担者 堀邊 英夫  大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00372243)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワードポリマーブレンド / PVDF/PMMA / ダブルラフネス / 大気圧低温プラズマ / バイオミメティクス / ポリマーブレ ンド / ダブルラフネス構造
研究開始時の研究の概要

我々は,残留溶媒を調整したポリマー膜の表面に大気圧低温プラズマを照射して微細構造を形成すると,その表面がカタツムリの殻のような優れた防汚機能を発揮することを確認している。しかしながら,その形成メカニズムの解明は十分ではない。また,ハスの葉でみられる超撥水性の実現にはダブルラフネス構造を形成する必要があるが,残留溶媒の調整だけでは実現することが難しい。そこで,本研究では,プラズマによる分解速度が異なる種々のポリマーを利用して,大きな凹凸と微細構造とを同時に形成する方法を検討する。微細構造の形成メカニズムを明らかにするとともに,ダブルラフネス構造を形成し,超撥水性の実現を目指す。

研究実績の概要

ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリメチルメタクリレート(PMMA)をブレンドした膜(相溶系)への大気圧低温プラズマ処理によるダブルラフネス構造の形成を試みた。PVDF/PMMAブレンド比は,0/100 %,30/70 %,70/30 %,100/0 %の4種類とした。各ブレンド膜の表面の微細構造と濡れ性を評価した。以下のとおり,研究成果を報告する。

〇PVDF/PMMAブレンド比0/100 %と30/70 %の膜では,プラズマ照射の有無にかかわらず,大きな凹凸を確認できなかった。PVDFの含有比率が70%以上の膜では,大きな凹凸構造を確認した。PVDFのみの膜の表面は,プラズマ照射しても大きな凹凸構造のままであった。1 μm以上のピッチの凹凸構造が支配的であった。一方で,ブレンド比70/30 %の膜では,プラズマ照射条件によって表面形状が大きく異なった。プラズマ点灯エネルギーを7.2 kJとしたとき,ダブルラフネス構造を形成できた。1 μm以上のピッチの大きな凹凸構造だけでなく,0.1~0.7 μmピッチの小さな凹凸構造の形成も確認できた。

〇未照射のとき,接触角はPVDF含有率の増加とともに大きくなった。プラズマ照射すると,いずれのブレンド比の膜においても接触角が低下した。特に,PVDFのみの膜では,接触角の低下が著しく,約30°(93°→62°)の低下を示した。表面の酸化が進行していることを確認した。一方で,ブレンド膜では,ブレンド比が70/30 %であっても,接触角の低下は5°以下であった。表面酸化は確認できなかった。ダブルラフネス構造を有するブレンド比70/30 %の膜は,わずかではあるが,プラズマ処理したPMMAのみの接触角(70°)に比べて10°の接触角の向上を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の結果をもとに,PVDF/PMMAブレンド比70/30 %のブレンド膜において,ダブルラフネス構造を形成することに成功した。1 μm以上のピッチの大きな凹凸構造のうえに,0.1~0.7 μmピッチの小さな凹凸構造が形成できていることを確認した。一方で,撥水性は不十分であった。PMMAのみの場合よりも向上できたとはいえ,その表面の接触角は80°に留まった。これは,小さな凹凸構造の高さが低かったことが原因と考えられる。小さな凹凸構造の高さの向上については,今年度に行った予備実験において,プラズマジェットで処理することで実現可能な見込みを得ている。小さな凹凸構造を成長させ,撥水性の指標である90°以上の接触角の実現を目指す。

今後の研究の推進方策

今年度の取り組みで形成できたダブルラフネス構造では,小さな凹凸構造の作り込みが甘かった。接触角の向上は見られたが,撥水性には至らなかった。小さな凹凸構造の高さの向上が必要である。これは,プラズマジェットで処理することで実現できる見込みである。プラズマジェットによるPVDF/PMMA膜へのダブルラフネス構造の形成を行い,微細構造の形状やその表面の濡れ性について調べる。また,PMMA/PS膜(非相溶系)での比較実験を行い,大気圧低温プラズマによる微細構造の形成技術や表面の濡れ性の制御技術への応用展開の可能性を検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Development of Bile Duct Stent with Antifouling Property Using Atmospheric Pressure and Low Temperature Plasma2022

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Masashi、Hamasaki Tomoyuki、Sekiguchi Atsushi、Minami Hiroko、Aikawa Masayasu、Horibe Hideo
    • 雑誌名

      Journal of Photopolymer Science and Technology

      巻: 35 号: 3 ページ: 233-239

    • DOI

      10.2494/photopolymer.35.233

    • ISSN
      0914-9244, 1349-6336
    • 年月日
      2022-12-16
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 大気圧低温プラズマによる構造模倣技術への応用2024

    • 著者名/発表者名
      山本雅史
    • 学会等名
      NCBIバイオミメティクス分科会(東京)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 水蒸気プラズマによるポリスチレン系ポリマーの除去2023

    • 著者名/発表者名
      山地恭平,山本雅史,Khant Nyar Paing,相澤洸,石島達夫,堀邊英夫
    • 学会等名
      第84回応用物理学会周期学術講演会(熊本)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大気圧低温プラズマ処理したPVDF/PMMAブレンドフィルムの濡れ性の評価2023

    • 著者名/発表者名
      高田歩夢,山本雅史,藤居虹帆,多田健太郎,鹿間共一,岡本治樹,堀邊英夫
    • 学会等名
      第72回高分子討論会(香川)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大気圧低温プラズマを用いたダブルラフネス構造の形成方法の提案2022

    • 著者名/発表者名
      山本雅史,三谷克己,谷野柊,鹿間共一,岡本治樹,堀邊英夫
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 大気圧低温プラズマ処理による胆管ステント内壁への防汚機能付与2022

    • 著者名/発表者名
      細谷宣佳,濱崎智行,山本雅史,鹿間共一,南紘子,関口淳,合川公康,堀邊英夫
    • 学会等名
      応用物理・物理系中国四国支部合同学術講演会(香川)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Development of Bile Duct Stent with Antifouling Property Using Atmospheric Pressure Low-Temperature Plasma2022

    • 著者名/発表者名
      M. Yamamoto, T. Hamasaki, A. Sekiguchi, H. Minami, M. Aikawa, and H. Horibe
    • 学会等名
      The 39th International Conference of Photopolymer Science and Technology (ICPST-39)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [備考] 山本 雅史 - 教員一覧 | 国立高専研究情報ポータル

    • URL

      https://research.kosen-k.go.jp/plugin/rmaps/details/11/122/m-yamamoto

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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