研究課題/領域番号 |
22K04254
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
|
研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
崔 希燮 北見工業大学, 工学部, 教授 (70710028)
|
研究分担者 |
井上 真澄 北見工業大学, 工学部, 教授 (00388141)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 高炉スラグ微粉末 / 低温環境 / 亜硝酸カルシウム / 硝酸カルシウム / 膨張収縮挙動 / びひび割れ予想 / 自由膨張収縮実験 / 拘束収縮実験 / 温度依存性 / 細孔構造 / 水和生成物 / 微細分析 / 寒中施工 / 膨張収縮 / ひび割れ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究において,研究計画の概要を示す。 まず,CN混入高炉セメントマトリクス中の水分挙動と水和反応の相関関係による膨張収縮挙動を明らかにするため,亜硝酸カルシウムおよび硝酸カルシウムの化学反応モデル検討を行う。また,各種拘束条件下でのCNを混入したBFSCコンクリートの膨張収縮挙動およびひび割れを予想するため,多様な拘束条件下での膨張収縮挙動およびひび割れ予測検討を行う。最後に,厳冬期における実大施工実験を実施することで最終的にCN混入BFSCコンクリートのひび割れ予測最適化手法を開発・提案する。
|
研究実績の概要 |
低温環境下において,亜硝酸カルシウムおよび硝酸カルシウムを主成分とする硬化促進剤(CN)は,高炉スラグ微粉末を混入したセメント(以降,高炉スラグセメント,Blast-Furnace Slag Cement;BFSC)に対して添加すると硬化促進や凍結点低下などの性能を発揮し,初期強度改善効果が期待できる。さらに,寒中施工におけるBFSCの短所を克服できる可能性があるため,近年は環境負荷低減型寒中コンクリート施工技術として,BFSCとCNを併用したコンクリートに関する研究が進められている。しかし,多くの研究はBFSCを用いたコンクリートの初期凍害防止の観点から初期材齢における強度発現に着眼しており,初期以降における耐久性,特にコンクリートの劣化の起点となる収縮ひび割れに関する研究は極めて少ないのが現実である。 令和5年度では,各種拘束条件下でのCNを混入したBFSCコンクリートの膨張収縮挙動およびひび割れ予想などについて定量的な評価を目的として,自由膨張収縮実験および拘束収縮実験を行った。実験は,CN混入BFSCコンクリートの温度依存性への適用を確認するため,多様な養生温度条件を設定して一連の実験を行い,特に,拘束収縮実験は,供試体の内部に拘束鋼材を配置し,鋼材のひずみから拘束収縮ひずみを求めた。拘束ひずみから拘束応力を算出し,同材齢の拘束応力に対するひび割れ発生強度比からCN混入BFSCコンクリートのひび割れポテンシャルを評価し,膨張収縮予測およびひび割れの予測がある程度可能なことが分かった。さらに実験によるCN混入セメントマトリクス中の水分挙動と水和反応の相関関係による膨張収縮挙動を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 令和4年度でのCN混入BFSCコンクリートの膨張反応の温度依存性および細孔構造と水和生成物とのメカニズムに基づき,CN混入硬化体を用いて,自由膨張収縮実験および拘束収縮実験を行い,多様な養生温度条件下のCNの添加量によるコンクリートの収縮ひずみの比較・評価を行った。その結果,CN 添加量が増えると、同材齢でのモルタルの収縮によって内部鋼材リングに生じる拘束収縮ひずみは大きくなり、拘束引張応力が大きくなることでひび割れが早く発生した。また、ひび割れポテンシャルの結果から、CN 添加量が増えるとひび割れ発生時のひび割れポテンシャルの値が非常に大きくなることから、CN 添加量が増えるとひび割れ発生の可能性が非常に大きくなることが示された。従って,石こうなどのアルカリ活性剤を用いて,CN混入BFSCコンクリートの収縮量を制御する必要がある。以上は当初評価どおりであることから概ね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4・5年度の検討結果に基づき,石こうなどのアルカリ活性剤を用いたCN混入BFSCコンクリートの収縮量の制御のため,アルカリ活性剤の種類による膨張反応の温度依存性および細孔構造と水和生成物との相関関係を明らかにするための多様な実験を行う。その後,各種拘束条件下でのアルカリ活性剤の種類によるCN混入BFSCコンクリートの膨張収縮挙動およびひび割れ予想などについて定量的な評価を目的として,自由膨張収縮実験および拘束収縮実験を行う。最後に,実験およびモデル化により予測シミュレーションを行い,各パラメータの設定およびモデルの適合性を確認する。モデルの適合性の検討は,力学的特性および体積変化モデルを併せて総合評価することで,各材料物性の根源的なパラメータを用いて統一的に説明できる連成モデルの開発を試みる。一方,体積モデルを適用し,アルカリ活性剤を用いたCN混入BFSCコンクリートの初期物性発現と,それに基づく応力の予測および予測した応力と引張強度(あるいはひび割れ発生強度)の大小関係から,膨張収縮挙動およびひび割れ予測を検討するとともに,厳冬期における実大施工実験を実施することで最終的にアルカリ活性剤を用いたCN混入BFSCコンクリートのひび割れ予測最適化手法を開発・提案する。
|