研究課題/領域番号 |
22K04260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
黒田 保 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (30263487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | コンクリート / アルカリシリカ反応 / 凍害 / 複合劣化 / 圧縮強度 / 割裂引張強度 / 静弾性係数 / ポアソン比 / 劣化予測 / コンクリートの力学特性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,アルカリシリカ反応(ASR)と凍害による複合作用を受けるコンクリート構造物の劣化予測手法および性能照査手法を開発するため,それらの複合劣化のメカニズムおよびASRと凍害の複合劣化を生じたコンクリートの力学特性と塩分浸透特性を明らかにすることを目的として実施する。実験においては,まずASRと凍害による単独劣化について検討し,続いてASRと凍害の複合劣化についてそれぞれの単独劣化との比較の上で検討する。ASRと凍害の複合作用については,実環境における作用を考慮してASRと凍害の繰返し作用の周期を複数変化させて検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,アルカリシリカ反応(ASR)と凍害の複合劣化を生じたコンクリートの力学特性および塩分浸透特性を明らかにして,ASRと凍害による複合作用を受けるコンクリート構造物の劣化予測手法および性能照査手法を開発することである。令和4年度には凍害とASRそれぞれの単独劣化を生じたコンクリートの力学特性について検討した。 凍害単独劣化については水セメント比(W/C)が45,55,65%のコンクリートに対してJIS A 1148に準じて凍結融解試験を行い,コンクリートの相対動弾性係数が80%,60%,40%となった時点で圧縮強度と静弾性係数を測定した。また,健全なコンクリート(相対動弾性係数100%)に対しても同様に測定を行った。その結果,凍害による劣化の程度が大きくなるほど圧縮強度と静弾性係数は小さくなることが明らかとなった。また,凍害の影響はコンクリートの圧縮強度よりも静弾性係数に対して顕著に表れることを明らかにした。 ASR単独劣化については,W/Cが45,55,65%のコンクリートに対して温度40℃,相対湿度95%の環境下でASRを促進させた後にコンクリートの膨張率が0.05,0.10,0.20,0.30%となった時点で,コンクリートの圧縮強度,割裂引張強度,静弾性係数,ポアソン比(圧縮強度の3分の1の応力での値)の測定を実施した。また,健全なコンクリート(膨張率0%)に対しても同様に各種力学的性質の測定を行った。その結果, ASRによる劣化の程度が大きくなるほど圧縮強度,割裂引張強度および静弾性係数は小さくなることが明らかとなった。また,ASRによる劣化の影響はコンクリートの圧縮強度や引張強度よりも静弾性係数に対して顕著に表れることを明らかにした。一方,0.30%までの膨張率の範囲では,コンクリートのポアソン比はASRの劣化による影響を受けないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,ASRによる劣化が凍害による劣化に与える影響,凍害による劣化がASRによる劣化に与える影響,ASRと凍害の繰返し作用がコンクリートの劣化に与える影響について検討する予定である。また,ASRによる単独劣化,凍害による単独劣化,ASRと凍害による複合劣化の3つのタイプの劣化に対してそれぞれの劣化の程度がコンクリートの力学特性および塩分浸透特性に与える影響について検討する予定である。このように立案した計画のうち,令和4年度にはASRによる単独劣化および凍害による単独劣化の程度がコンクリートの力学特性に与える影響を明らかにした。また,結果が得られるまでに長期間を要する複合劣化に関する実験のうち,ASRによる劣化が凍害による劣化に与える影響を確認するための供試体を令和4年度のうちに作製して実験を開始した。この供試体についてはASRと凍害の複合劣化を生じたコンクリートの力学特性を検討する供試体の一部でもある。これらの令和4年度の研究実施内容を本研究の全体計画に照らし合わせ,「おおむね順調に発展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で実施するASR,凍害,およびそれらの複合劣化を生じたコンクリートの力学的性質の測定については,促進環境に供試体を保存したとしても劣化の進行がきわめて遅いため,力学的性質の測定を実施するまでにかなりの長期間を要する。令和4年度と同様に令和5年度においても,結果を得るまでに長期間を要するものについては先行して供試体を作製し,研究が計画通りに進むように効率よく実験を遂行する。
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