研究課題/領域番号 |
22K04261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 良一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 名誉教授 (20016702)
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研究分担者 |
半井 健一郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10359656)
小川 由布子 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30624564)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 不同沈下 / 横ひび割れ / せん断伝達 / 段差 / ひび割れ幅 / 粗骨材かみ合い開始せん断ひずみ / 乾燥収縮 / CRCP / 版厚設計指針案 / 連続鉄筋コンクリート舗装 / 収縮ひび割れ / 舗装構造解析 / 版厚設計指針(案) |
研究開始時の研究の概要 |
不同沈下の影響を受け、自重、クリープ、版上下面温度差(ΔT)、輪荷重(P)が順次作用するCRCPの応力およびひずみの履歴型舗装構造解析法に自重作用前の収縮・温度降下によるひび割れ幅の解析機能を付加し、当該解析手法の体系化を行う. ひび割れ解析は鉄筋とコンクリート間の付着要素のせん断応力-せん断ひずみ(抜け出し量/付着要素厚さ)に基づくものである.せん断応力-せん断ひずみ関係は弾性-破壊-弾性の増分型とし、このモデルに基づく版厚方向のひび割れ幅を実舗装の切土部と盛土部での実測値と比較・検討する. 上記の履歴型解析手法を標準とする不同沈下の影響を考慮したCRCPの版厚設計指針(案)の策定を行う.
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研究実績の概要 |
不同沈下により連続鉄筋コンクリート舗装版(CRCP)の場合も、版下面とアスファルト(As)中間層との間に生じる隙間(ギャップ)のCo版応力に及ぼす影響は大きく、自重による版の変位と応力に及ぼすクリープの影響評価、版とAs中間層との接地及び剥離の判定方法の確立は重要である。 クリープは版の自重による変位を増大させ、荷重応力のギャップによる増加を低減できるが、その影響評価法は確立されていない。接地及び剥離の判定については、有効ヤング係数を適用した申請者らは例を示したが、履歴を考慮できなかった。 そこで、本年度は自重、クリープ、温度差、輪荷重のそれぞれが順次作用する場合の版下縁の履歴応力の解析を目標とした。クリープの影響評価に力点を置き、3要素Voigtモデルを取り入れた手法の開発を目指した。クリープひずみの影響は見かけの増分節点力で考慮し、全体系の平衡方程式に取り入れて解析した。CRCP版は非線形性が強く、クリープとともに自重、温度差、輪荷重はいずれも増分で与え、不釣り合い力を考慮しつつ、接地、剥離の判定を逐次行い、各作用による応力を解析した。 解析は3D-FEMを用いて行ない、対象は幅員3.85m、版厚300㎜のCRCPとした。ギャップは幅員方向に円弧分布し最大ギャップ深さ0.5㎜とした。ギャップのヤング係数は、接地前は無限小、接地後はAs中間層と同一とした。版のクリープ係数の終局値は1.0、ひび割れ部のせん断伝達は申請者らの実験に基づき段差量/ひび割れ幅(0.3mm)=0.17で開始し、伝達開始後のせん断剛性は一定とした。 以上に基づき、自重、クリープ、温度差、輪荷重が順次作用する場合の版下縁応力履歴の解析結果を示した。 以上から、本年度の研究実績は「自重、クリープ、温度差、輪荷重が順次作用する場合の版下縁応力履歴の解析法の枠組みを構築し、解析例を示した」とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不同沈下によるギャップを有するCRCPとAs中間層との接触・剥離の判定方法、申請者らの実験に基づく横ひび割れ部のせん断伝達モデルを取り入れた3D-FEMに自重応力の緩和を表現するための3要素Voigtモデルを組み、自重、クリープ、版上下面の温度差、輪荷重のそれぞれが順次作用する場合の版下縁応力の時刻歴解析ができることを確認した。特に、有効ヤング係数ではできなかった全自重で接地した版の応力緩和を、Voigtモデルを導入することにより表現できた。これらの解析結果は想定した結果と矛盾のないものであった。 しかし、不同沈下により横ひび割れ幅は底面側で大きくなることが考えられ、ひび割れ要素のせん断ひずみで定義したせん断伝達モデルによればせん断応力も表面部より小さくなることが考えられる。しかし、これらの現象の解析による評価には至らず、今後の課題となった。 以上から「概ね順調」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本解析手法の適用範囲を確認するため、不同沈下による版下面のギャップの最大深さ、版上下面の温度差について数水準を設定し、解析を行う。自重応力、温度差応力は版とAs中間層との接地・剥離の影響を大きく受けるので、接地・剥離の判定とギャップ要素の剛性モデルを適切に定める。温度差応力は自重が発生原因であるので、ギャップ深さと関係づけて評価する。 東広島・呉道路(東呉)の明り部盛土部、明り部切り土部で測定した横ひび割れ幅とその版厚方向応力分布、を特に季節的温度変化の影響の観点から分析する。次いで、その分析結果と解析結果を比較検討し、解析モデルの妥当や問題点を明らかにする。 さらに、岩国空港のCRCP、国道9号北条バイパスのCRCPのFWDによる調査結果、特に横ひび割れ部の段差とたわみを解析値と比較、検討し、解析の妥当や問題点を明らかにする。 以上を取りまとめ、今後の方策とする。
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