研究課題/領域番号 |
22K04264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
橋本 親典 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (10180829)
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研究分担者 |
石丸 啓輔 徳島大学, 技術支援部常三島技術部門, 技術専門職員 (00380121)
渡邉 健 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (50332812)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 無線タグ / 静電容量型加速度センサ / 電気炉酸化スラグ細骨材 / 短繊維 / 膨張材 / 中流動コンクリート / 夜間施工 / 加速度 / 無線ICタグ / 生産性向上 / フレッシュコンクリート / 施工性能 / 圧送工法 |
研究開始時の研究の概要 |
コンクリート工の生産性向上の究極の姿は、完全自動化によるコンクリート工である。しかしながら、完全自動化に資するコンクリートは、高流動コンクリートであるが、生コン工場の設備では現実的ではない。これに対して、締固めを要する高流動コンクリート(以後、中流動コンクリートと称す。)が注目されている。本研究課題は、夜間施工を対象として、中流動コンクリートを用いた製造・施工システムの夜間自動化技術を開発する。管内閉塞の発生が少ない電気酸化スラグ細骨材を用いた中流動コンクリートを対象として、製造システムおよび施工システムの問題点を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は,夜間施工を対象として,締固めを要する高流動コンクリート(以後、中流動コンクリートと称す。)を用いた製造・施工システムの夜間自動化技術を開発することである。2年目である令和5年度は,1年目に開発した静電容量型加速度センサを内蔵した無線タグを用いた同時多点加速度計測システムを使って,製造時と施工時におけるフレッシュコンクリートの状態を計測し,新たな加速度の時系列データを取得した。コンクリートの締固めおよびミキサ内でのコンクリートに対して,実験室規模の計測を実施した。圧送時の管内流動に関しては,実機ポンプ車を用いた圧送実験で計測を実施した。その結果,無線タグをミキサ内や輸送管内に投入しても,ミキサの軸回転速度や圧送時の圧送速度が著しく大きくない限り(通常の施工範囲),加速度を計測することができることを明らかにした。ミキサやピストンの周波数と加速度の時系列データの卓越周波数がある程度一致した。また,フレッシュコンクリート中における無線タグの通信限界に関する実験を実施し,かぶり250mm以下であれば,通信可能であることを見出した。 一方,電気炉酸化スラグ細骨材を用いた中流動コンクリートに関しては,中流動コンクリートの性能向上のために,短繊維と膨張材を混入した種々の配合のコンクリートの機械的性質および耐久性を検討した. その結果,繊維混入率を4%まで増加させても,単位水量200kg/m3の短繊維補強中流動コンクリートの強度や耐久性は,通常のコンクリートと同等以上であることが明らかになった。単位膨張材量20kg/m3のコンクリートは,凍結融解抵抗性が通常のAEコンクリートよりも低下した。しかしながら,短繊維補強することで,AEコンクリートと同等な凍結融解抵抗性を有することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が所属する研究室において,従来の加速度計測システムより安価でかつ複数点を同時計測できるシングルボードコンピュータを用いた静電容量型加速度センサによるフレッシュコンクリートに発生・伝播する加速度の計測システムを構築した。ただし,シングルボードコンピュータと加速度センサの間が有線であった。この問題点を,本研究課題の開始年度において,静電容量型小型加速度センサを内蔵した無線ICタグを使うことによって解決し,同時多点加速度計測システムの構築に成功した。2年目では,この計測システムを,以下の3つの流動の状況を対象に適用し,加速度の時系列データを取得した。①かぶり部を充填するコンクリートの状況 ②圧送時の輸送管内を脈動するコンクリートの状況 ③ミキサやアジテータ内を流動するコンクリートの状況 短繊維補強コンクリートは,高靭性であり,従来のRC部材のせん断補強鉄筋量を減らすことができ,管内閉塞や型枠内の締固め不良の発生を防止する必要がある夜間自動化施工に適している。しかしながら,繊維混入率に限界がある。研究代表者が所属する研究室において,粒径が球形に近い電気炉酸化スラグ細骨材を用いることで,4%の繊維混入率を達成することができることをすでに明らかにした。本研究課題の開始年度では,この電気炉酸化スラグ細骨材を用いた短繊維補強中流動コンクリートに着目し,このコンクリートの強度特性と耐久性を実験的に明らかにした。2年目では,膨張材を用いて,さらなる高性能化を試みた。その結果,強度ならびに耐久性も,普通コンクリート以上の性能を有することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の令和6年度では,実際の生コンプラントを用いて,夜間施工の可能性を検討する。具体的には,2つの研究委員会組織において実施する。 1つは,研究代表者が委員長として研究委員会「コンクリート工の生産性向上を目的としたトラックアジテータ車の高性能化に関する研究委員会」が令和5年6月から日本コンクリート工学会四国支部に設置され,現在活動中である。その研究委員会において,無線タグを用いた多点同時加速度計測システムを用いて,トラックアジテータ内のコンクリートの流動挙動の加速度を計測する。 2つ目は,日本建築学会近畿支部 材料・施工部会と近畿生コンクリート圧送協同組合が協同して実施する実機ポンプ車を用いた圧送実験に参加し,脈動中の流動するフレッシュコンクリート内部の加速度の計測を行う。また,輸送管の外部に,無線タグを接着させ,管壁に伝播する3軸の加速度を計測する。もともと無線タグには,3軸の加速度センサが内蔵されており,振動体表面の加速度を計測することができる。最終年度は,この無線タグの本来の仕様目的による計測を実施し,計測データの分析を行う。 また,2年目までの研究成果を,土木学会四国支部技術研究発表会(5月),日本コンクリート工学会2024松山大会(6月)および2024年度日本建築学会大会(関東)(9月)において発表を行い,情報収集を行う。
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