研究課題/領域番号 |
22K04301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
中村 大 北見工業大学, 工学部, 教授 (90301978)
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研究分担者 |
川口 貴之 北見工業大学, 工学部, 教授 (20310964)
松田 圭大 北海道科学大学, 工学部, 講師 (50909306)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 太陽光発電 / 凍上対策 / 凍着凍上現象 / スパイラル杭 / 積雪寒冷地 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、北海道において太陽光発電施設が積極的に建設されているが、凍上現象による様々な被害が散見されるようになってきた。太陽光発電施設において凍上被害が発生する主な原因は、設計ガイドラインに凍上対策が明示されていないことから、事業者が凍上被害の発生を予測し、これを回避する手段を持ち合わせていないためである。そこで本研究では、寒冷地での普及が期待されるスパイラル杭に着目し、これを用いた凍上対策を提案する。申請者が提案する凍上対策は、スパイラル杭の羽根付き部分を最大凍結深さ以深に埋設するというもので、この凍上対策に必要な羽根の設計方法について、室内模型実験と一面せん断試験で検討を行う。
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研究実績の概要 |
近年,北海道の山間部や遊休農地などにおいて,太陽光発電施設が積極的に建設されている。しかしながら,凍上現象による被害が散見されるようになってきた。そこで本研究では,寒冷地での普及が期待されるスパイラル杭に着目し,これを用いた凍上対策を提案することを最終目標としている。 研究2年目の令和5年度は,室内実験で未凍結状態におけるスパイラル杭の引抜試験を実施した。室内実験の結果から,未凍結状態では埋設深さが深い杭の方が浅い杭に比べて,引抜抵抗が大きいことがわかった。これは埋設深さが深い杭では土被りが大きいことに加えて,土との接触面積が大きくなり,周面抵抗力が増大するためと考えられる。次に,羽根の大きさについては,羽根が小さな杭で最も引抜抵抗が大きいことがわかった。これは羽根が小さい杭では土中の羽根の数が多く,土との接点が多くなるためと推測される。加えて,羽根が大きい杭では回転貫入時に土が乱れてしまい,杭周辺の土の強度が低下するためと考えられる。なお,羽根の無い杭では最も引抜抵抗が小さかったが,これは引抜きに抵抗する力が摩擦力のみのためだと考えられる。 当初の計画を前倒して実施した屋外実験については,研究2年目も継続して実施した。研究初年度は屋外実験フィールドにおいて施工したスパイラル杭の実物大模型を用いて,施工直後に引抜試験を実施していた。令和5年度は春期と夏期に引抜試験を実施し,凍結融解履歴が杭の引抜抵抗に与える影響を明らかにすることを試みた。引抜試験の結果から,全ての種類の杭において凍結融解後に引抜抵抗が低下していることが確認できた。ただし,羽根の幅が大きく,凍結深さ以深の羽根の数が多いスパイラル杭では引抜抵抗の低下は小さかった。このことから,羽根の幅や数を設計に盛り込むことで,スパイラル杭の引抜抵抗に与える凍結融解履歴の影響を小さく抑えることができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目の令和5年度は,スパイラル杭の引抜抵抗に与える凍結融解履歴の影響を解明するための室内実験を当初の計画通りに開始した。また,当初の計画を前倒して研究初年度から実施している屋外実験については,研究2年目も継続して実施することができた。実験結果および計測結果の一部については,各種の学会で公表済みである。 室内実験については,本研究の基礎となる未凍結状態におけるスパイラル杭の引抜試験を完了させた。この未凍結状態における実験結果を基に,令和6年度には凍結融解履歴を与えた後のスパイラル杭の引抜試験を実施していく。 一面せん断試験については,本研究の基礎となる凍結融解させた土の一面せん断試験を継続して実施している。 屋外実験については,研究初年度にスパイラル杭の実物大模型を施工し,その凍上・融解沈下挙動を明らかにした。また,施工直後における引抜試験も実施済みである。研究2年目の令和5年度は春期と夏期に引抜試験を実施しており,施工直後の引抜試験結果と比較することで,凍結融解履歴が杭の引抜抵抗に与える影響を明らかにすることに成功している。ただし,屋外実験の結果はばらつきが大きかったため,より定量的な知見を得ていくためには令和5年度から実施している室内実験が重要であることがわかった。 以上のように,当初の計画通り,研究を順調に進めることができているため,区分を(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,令和5年度に開始した各種の室内実験を精力的に実施していく。 室内模型実験については,羽根の幅や数を変えたスパイラル杭の模型を埋設して,これに凍結融解履歴を与え,その凍上・融解沈下挙動を明らかにしていく。また,凍結融解前後に引抜試験を実施し,凍結融解履歴がスパイラル杭の引抜抵抗に与える影響について明らかにしていく。 次に一面せん断試験については,杭の凍上対策を設計する上で必要となる凍結融解前後の杭(金属)と土の摩擦力を把握することに取り組む。特に,令和6年度は金属と土試料を凍着させた後や融解させた後に,一面せん断試験を実施していく。 最後に,屋外実験については,令和5年度に全て完了することができたため,令和6年度は実施しない予定である。
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