研究課題/領域番号 |
22K04304
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
荻野 俊寛 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (80312693)
|
研究分担者 |
田口 岳志 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (00452839)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | ベンダーエレメント / モード解析 / セルフモニタリング / 伝達関数 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
土のせん断弾性係数は,地盤材料の剛性を決める重要なパラメータである。ベンダーエレメント(BE)法はせん断弾性係数を得るために必要な,土中を伝播するS波の速度を測定する試験である。しかしながら,波の到達時間決定に曖昧さを有しており,そのために試験の適用範囲が制限されている。 本研究では「BE法は線形理論によって解釈可能である」という,仮説に基づき,不必要なBEの振動特性をモデル化し, その振動特性を取り除く受信波補正法によりBE法の適用限界を拡張する。さらに,一般利用を念頭に補正モデルを構築する。 本申請課題が提案する学習済み補正モデルを利用することで,補正値を簡単に入手可能な環境構築を目指す。
|
研究実績の概要 |
研究初年度は,1. 第一の達成目標を実現するため,様々な寸法のBEの振動を直接的あるいは間接的に観測することで,BEの振動特性を明らかにすること,2. 得られた観測結果に対し,1自由度の減衰振動モデルに代わる新たな伝達関数モデルとして,実験モード解析による近似解をあてはめること,を目標とした。これに対し,令和5年度の実績は,寸法の異なる3種類のセルフモニタリングベンダーエレメントに対し,レーザー変位計を用いて振動を直接観測し,モード解析の結果から,固有モードの重ね合わせによって素子の応答を級数近似した。その結果,以下の結論が得られた。 1 各ベンダーエレメントは100kHz以下の範囲で,2個から4個の固有周波数を持つ多自由度減衰系となった。代表的な固有モードは長さ方向の単純曲げ振動および幅方向の曲げ振動であり,後者はこれまで想定されていないモードであった。 2 振動特性に及ぼすセルフモニタリング部の影響は限定的であった。 3 モード近似によって得られたベンダーエレメントの応答を実測値と比較した結果,上記の2つのモードで実測値を十分に近似可能であった。 4 ベンダーエレメント全体における近似と実測の平均誤差は寸法によらずおおむね10%程度であった。 また,令和6年度に予定している機械学習モデルの作成に備え,予備的なモデルの作成を実施した。モデルはサポートベクターマシンを用い,訓練データは従来提案されている線形モデルから人工的に合成した。その結果,学習済みのモデルは高い精度で真のS波到達点を予測することがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の達成目標であった1. 様々な寸法のBEの振動を直接的あるいは間接的に観測することで,BEの振動特性を明らかにすること,2. 得られた観測結果に対し,1自由度の減衰振動モデルに代わる新たな伝達関数モデルとして,実験モード解析による近似解をあてはめること,は予定通り実験が進捗し,ほぼ想定通りの結果が得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
1BE の振動特性の除去による補正の実施と適用限界の検証 昨年度の成果より,ベンダーエレメントの伝達関数が2つのモードの重ね合わせで十分に近似できることがわかったので,これを使って実験で得られた受信波からベンダーエレメントの振動特性を取り除き,土供試体のみの振動特性を表す伝達関数を計算する。この伝達関数から,従来よりもはるかに高精度にS波の到達時間を決定することができると考えている。 2機械学習による補正モデルの構築と有効性の検証 上記の補正法の適用性が確かめられたら,機械学習を用いて一般利用を念頭にした補正モデルの構築を行う。機械学習の訓練データには線形理論によって人工的に合成した受信波信号を用いる。いったん機械学習によって学習済みモデルが得られれば,一般の実験者はこのモデルを使用することで,セルフモニタリングベンダーエレメントのフィードバック信号から到達時間の補正量が得られるようになる。
|