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水和物の粒子間架橋効果に着目した高炉水砕スラグの不飽和地盤材料としての有用性解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K04314
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分22030:地盤工学関連
研究機関山口大学

研究代表者

原 弘行  山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00588709)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード高炉水砕スラグ / 飽和度 / 強度 / 水和物 / 水和反応 / X線CT / 不飽和 / 飽和 / 硬化
研究開始時の研究の概要

高炉水砕スラグは水と接触し得る環境下では硬化する性質を持つ.不飽和状態では,負圧によって粒子間に間隙水が保持されるため,生成される水和物の粒子間架橋効果は飽和状態よりも大きくなる.そのため,高炉水砕スラグの水硬性は陸上構造物として利用したときの方が顕著である可能性がある.本研究では,異なる飽和度における水砕スラグの強度増加メカニズムを調べ,不飽和地盤材料としての有用性を解明することを目指す.

研究実績の概要

高炉水砕スラグは「水硬性」を有しているが,淡水環境では1年以上硬化しないと考えられている.しかし,実際に,現場で施工された水砕スラグの試験盛土は短期間で著しく硬化しており,室内試験結果とは大きく乖離していた.試験盛土造成時の飽和度は30%程度であるのに対して,今までの室内試験はそのほとんどが飽和状態で検討されており,実際の現場の飽和度を再現できていない.本研究は,不飽和状態における高炉水砕スラグの強度発現機構を解明し,水砕スラグを陸上工事の地盤材料として利用促進を図ろうとするものである.
申請書に記載していた「不飽和状態における硬化メカニズムの解明」は前年度に達成することができた.そこで,令和5年度は施工中の降雨の影響を検討するため,養生中に飽和度が上昇したときの硬化挙動を検討した.また,アルカリ刺激剤として添加する高炉スラグ微粉末を複数用意し,水砕スラグの硬化特性に及ぼすスラグ微粉末の性質について調べた.さらに,アルカリ刺激剤無添加の長期硬化挙動の検討も行った.その結果,水砕スラグの硬化挙動や水和物の生成状況は不飽和時点での硬化特性の影響を強く受け,飽和度の増加による影響は大きくないことが明らかとなった.したがって,施工時の初期の設定飽和度が極めて重要であることが示唆された.また,添加する高炉スラグ微粉末によって水砕スラグの硬化特性は異なっていた.このとき,強度発現するまでに長期間を要するほど,その後の強度増加率は大きくなる傾向があることが示された.これは,スラグ微粉末に含まれるマンガンや鉄の量に強く影響されることを明らかにした.スラグ微粉末無添加の場合,飽和度30%の供試体は養生455 日,飽和度50%の供試体は養生546 日時点で初めて強度発現が見られたが,それら以外の飽和度の供試体では一切強度発現しなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予定していた不飽和状態における硬化メカニズムの解明は前年度で概ね達成することができ,より詳細な水砕スラグの硬化特性やアルカリ刺激剤の影響まで検討することができている.

今後の研究の推進方策

令和5年度の研究成果から,施工時の飽和度が重要であり,その後の降雨の影響はほとんどうけないことが示唆された.そこで,より詳細な条件で実験を行って途中で飽和度が上昇したときの硬化挙動を検討する.また,スラグ微粉末のマンガンや鉄の含有量によって硬化挙動が大きく異なることが示された.これを利用して強度をコントロールすることを目的に,マンガン・鉄の含有量が硬化挙動に及ぼす影響を調べる.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Hardening characteristics of granulated blast furnace slag with different degrees of saturation2024

    • 著者名/発表者名
      Hara Hiroyuki、Nasu Eito
    • 雑誌名

      Construction and Building Materials

      巻: 424 ページ: 135942-135942

    • DOI

      10.1016/j.conbuildmat.2024.135942

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 飽和度が異なる高炉水砕スラグの硬化挙動およびそのメカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      那須英斗,原弘行
    • 雑誌名

      環境地盤工学シンポジウム論文集

      巻: 15 ページ: 206-211

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 飽和・不飽和状態で養生した高炉水砕スラグの強度発現特性2022

    • 著者名/発表者名
      HARA Hiroyuki
    • 雑誌名

      地盤工学ジャーナル

      巻: 17 号: 3 ページ: 277-284

    • DOI

      10.3208/jgs.17.277

    • ISSN
      1880-6341
    • 年月日
      2022-09-01
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 施工後16年が経過した高炉水砕スラグ試験盛土の調査2022

    • 著者名/発表者名
      原弘行,松田博,本田秀樹,篠崎晴彦,和田正寛
    • 雑誌名

      基礎工

      巻: 50 ページ: 78-81

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 高炉水砕スラグの硬化特性に及ぼす飽和度の影響2022

    • 著者名/発表者名
      原弘行
    • 雑誌名

      基礎工

      巻: 50 ページ: 104-107

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 異なる飽和度で養生した高炉水砕スラグの硬化機構に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      那須英斗,原弘行
    • 学会等名
      第75回土木学会中国支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 飽和度が異なる高炉水砕スラグの硬化機構に関する一考察2023

    • 著者名/発表者名
      那須英斗,原弘行
    • 学会等名
      第58回地盤工学研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 飽和・不飽和状態における高炉水砕スラグの硬化挙動の差異とそのメカニズムの解明2023

    • 著者名/発表者名
      那須英斗,原弘行
    • 学会等名
      第48回地盤工学セミナー報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 異なる飽和度で養生した高炉水砕スラグの硬化挙動2022

    • 著者名/発表者名
      那須英斗,原弘行
    • 学会等名
      第74回土木学会中国支部研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 異なる飽和度で養生した高炉水砕スラグの硬化特性2022

    • 著者名/発表者名
      那須英斗,原弘行
    • 学会等名
      第57回地盤工学研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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