研究課題/領域番号 |
22K04315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中田 幸男 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90274183)
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研究分担者 |
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
梶山 慎太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50803532)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 個別要素法 / 解析の信頼性 / ベンチマーク / V&V |
研究開始時の研究の概要 |
地盤工学における不連続体解析の検証のためには、質の高いベンチマーク(標準課題)が必要である。本申請は、このベンチマークを開発することを目的に、実現象を把握するための実験と、その現象をシミュレーションするための再現解析を行う。この申請の独自性は、再現解析を国際ラウンドロビン(一斉)解析として実施することである。そして、対象とする粒子をあえて3Dプリンターで製作した粒子とすることで、実験結果と解析結果との比較を容易にしている点である。基本的な地盤力学現象を把握するための実験装置や方法の検討、また、国際ラウンドロビン(一斉)解析を担う参加者が国内外から集まっていて、準備が整っている。
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研究実績の概要 |
ラウンドロビン解析(一斉解析)は、近年、数値解析に関わる科学・工学系の様々な分野で活発に行われている。地盤工学分野においても、国内外で活動があり公表されている。この活動は、より広く普及された連続体解析の一つである有限要素法が対象となっている。一方で、不連続体解析に対するラウンドロビン解析の実施事例についてはなく、地盤力学及び地盤工学課題に対するベンチマークは存在していない状況にある。ベンチマークがないことで、解析結果の確からしさが議論できないことや、解析コードの検証、モデル化の妥当性について検討できないなど、シミュレーション結果の信頼性を担保するための手法がない。最近、不連続体解析の中でも個別要素法(粒状要素法)は、多種多様に利用され、かなりの普及が進んできている。一方で、解析を用いるユーザーが各々でコードの検証や解析の妥当性について、検討するにとどまっていて、信頼性のおける解析であることを保証する手立てがないのが現状である。解析の検証を可能にするには、前述するようにランドロビン解析を実施し、そこで解析対象としていた題材をベンチマークとすることが最も有効であると考えられる。 本申請では、不連続体解析の代表である個別要素法解析の検証を可能にするために、地盤力学に関連する課題について、ラウンドロビン解析を実施し、ベンチマークの開発につなげることとした。2022年度は、基本的な地盤力学課題の一つで、試験方法が比較的容易に実施でき、様々な農学、理学、工学の分野に関係する安息角測定時の挙動を対象とした。安息角測定は、粒状体により形成される斜面の傾きを測定することを意味する。この解析を、国内外の研究者や技術者に参加を依頼し、その解析結果と別途実施した実験結果とを比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
地盤工学における不連続体解析の代表である個別要素法(DEM)解析の検証を可能にするために、地盤力学に関連する課題について、ラウンドロビン解析を実施した。2022年度では、得られた成果の取りまとめに加え、成果の公表について検討した。ここでの地盤力学課題は、試験方法が比較的容易に実施でき、様々な農学、理学、工学の分野に関係する安息角測定時の挙動を対象とした。 成果は、実験で得らた安息角測定結果を秘匿した状態で、解析者に再現解析を行ってもらうラウンドロビン解析を実施した。解析者は、国内外の16のグループによって行われた。安息角測定は、粒状材料の挙動が境界条件に依存することから、平面ひずみ状態と軸対象条件の2種類で行った。また、用いた粒状材料は、DEM解析でのモデル化のしやすさを念頭に、3Dプリンターで印刷した粒子を用いて行った。その結果、解析者が、適切な解析パラメータを用い、適切な粒子形状をモデル化した再現解析をすることで、実験結果と解析結果が一致するという結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度からは、2022年度で得られた成果の活用と、2回目の地盤工学課題に対するラウンドロビン解析の検討を行う。 2022年度で得られた成果の活用については、実験結果の公表に加え、データのアーカイブ化、実験動画のオープン化などがある。また、教育的な波及を念頭に、用いた実験装置の貸与が可能な状況を確立するための準備を行う。さらに、DEMコードとの組み合わせで教育コンテンツとして演習課題となるような情報提供を検討する。加えて、今回の解析に与える、パラメトリックスタディを実施することで、より高度に解析結果に与えるパラメータの影響分析を行うことを考えている。これについては、参加者への協力も得て行うとともに、2024年度の国際集会でのセッションテーマとして取りあげる予定である。 2回目の地盤工学課題は、土砂災害に大きく関連する土砂流動に取り組む方向で検討を始めている。まず、流動実験を行うための実験装置を開発する。また、流動シミュレーションの試行解析を行い、流動実験で計測する値について検討する。さらに、通常の実験では得られない測定値となる、動的でかつ内部の粒子挙動を測定するための実験方法について、海外の大学と連携して検討する。
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