研究課題/領域番号 |
22K04316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
荒木 裕行 香川大学, 創造工学部, 准教授 (30780837)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 液状化 / 直接基礎 / 蛇籠 / 地震時挙動 / ジオテキスタイル |
研究開始時の研究の概要 |
小規模構造物の液状化被害軽減には,液状化の発生は許容しつつも個々の構造物被害を軽減するような対策が有効な場合が多い.申請者は小規模構造物で一般的な直接基礎を想定し,直方体の籠の中に礫材を詰めた蛇籠型構造体を地盤に埋設して基礎の沈下と傾斜を抑制する液状化被害軽減対策を提案している.当該手法に直接基礎の沈下・傾斜の抑制効果があることは確認しているが,対策メカニズムの検証や適用条件の把握には至っていない.本研究ではこれら未解明な点について模型実験を通じて明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
本課題は,地盤に埋設した蛇籠型構造体を用いて直接基礎の液状化被害を軽減する対策手法の確立に向けた検討を行うものである.蛇籠型構造体は直方体の籠の中に礫材を詰めたものであり,本対策手法ではこれを基礎外周部に埋設してジオグリッドで連結することで液状化の発生や地盤の流動を局所的に抑制し,基礎の沈下や傾斜を抑えることを想定している. 本研究では,本対策手法の対策メカニズムの検証,適用条件と対策効果の把握を行うため,振動台模型実験を実施する.実施する振動台実験は,液状化し易い砂質地盤の地表面に直接基礎および提案対策の縮尺模型を設置し,加振によって砂質地盤を液状化させた時の基礎模型および地盤の挙動を計測するものである. 初年度は,対策の有無,基礎模型底面に作用する鉛直応力,基礎模型の重心位置をパラメータとした実験条件を設定し,対策メカニズムの検証に主眼を置いた振動台模型実験を実施した.まず,地盤内の全体的な過剰間隙水圧分布に着目すれば,蛇籠型構造体の設置による影響は小さいことが明らかとなった.次に基礎模型の沈下量に着目すると,蛇籠型構造体の設置は基礎幅を拡大した場合と同等の沈下抑制効果が認められた.蛇籠型構造体により基礎底面に作用する荷重が分散することで基礎の沈下が抑制されたものと考えられ,基礎模型の重心位置をずらした偏心荷重条件下でも同様の沈下抑制効果が確認できた.一方で,偏心荷重条件下での基礎の傾斜角度に着目すれば,基礎幅を拡大した場合よりも蛇籠型構造体を設置したケースの方が傾斜角度が減少することが明らかとなった.加振中の地盤挙動を観察したところ,蛇籠型構造体により基礎直下の地盤の流動が抑制されていることが確認でき,このような地盤の流動抑制が傾斜角度の抑制につながった可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度には振動台模型実験の実施により蛇籠型構造体の有無や荷重条件と直接基礎の沈下・傾斜の関係に関する基礎データを取得し,本手法の対策メカニズムに関する重要な知見を取得することができた.荷重条件等を変更した実験ケースの一部は次年度以降の実施を予定していたが,先行して実施することで対策メカニズムに関する詳細な検討を行うことができた.以上の状況から,概ね順調に実施できていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度においても液状化地盤上の直接基礎に関する振動台模型実験を引き続き実施し,主として対策条件を変化させた際の対策効果に関するデータの取得を予定している.令和4年度には蛇籠型構造体による基礎荷重の分散効果が基礎の沈下・傾斜の抑制において重要であることを確認したが,応力分散の傾向は基礎の形状にも大きく影響を受けると考えられる.そこで令和5年度には,当初計画で想定していなかった基礎形状が異なる場合の対策効果に関する実験ケースも追加実施したい.以上の実験で得られたデータに基づき,対策条件や基礎形状に応じた対策効果についてとりまとめを行う.得られた知見については速やかに学会および論文集等で発表を行う予定である.
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