研究課題/領域番号 |
22K04336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森脇 亮 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10302952)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | データ同化 / 日射量 / 局地気象 / 降水予測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「雲の有無やその厚さによって刻一刻と変化する地上日射量は同化データとして有用である」ことに着目し,従来は用いられてこなかった日射量の減衰量を気象予測モデルにデータ同化する手法を開発し,降雨予測の精度向上における新たなデータ同化手法の有効性,及び同化に使用する日射量データの空間的・時間的な密度(粒度)が降雨予測の精度に与える影響について評価することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では「雲の有無やその厚さによって刻一刻と変化する地上日射量は同化データとして有用である」ことに着目し,従来は用いられてこなかった日射量の減衰量を気象予測モデルにデータ同化する手法を開発し,降雨予測の精度向上における新たなデータ同化手法の有効性,及び同化に使用する日射量データの空間的・時間的な密度(粒度)が降雨予測の精度に与える影響について評価することを目的としている.本研究では三点の問い(①日射量データ同化の理論構築,②雲水量鉛直分布の導出方法の確立,③データ同化に有効となる日射量の空間的な範囲と時空間的な密度(粒度)の検討)に取り組むこととしている. 令和4年度は,主に③データ同化に有効となる日射量の空間的な範囲と時空間的な密度(粒度)の検討に着手しており,時空間的に密な日射量の観測網を独自に展開できるようにするために自立型のリアルタイム日射量モニタリングシステムの開発を行った.多くの観測機器のフィールドへの設置を容易にするには,低コスト,独立電源,リアルタイムでのデータ取得が必要となる.気象測器メーカーが提供している簡易日射センサー,マイコンボード,クラウドサービスを利用することで,モバイルバッテリーによるリアルタイムでのデータ取得が可能となった.省電力化のため,電力制御ボードを用いて,システム起動,時刻・電源電圧・日射強度の取得,SDカードへの書き込み,クラウドへのデータ送信し,その後システムをスリープさせた.日中はこれを1分毎に行い夜間はスリープさせ続けた.制御回路を用いる場合と用いない場合で約9倍の電力消費の差が確認された.簡易日射センサーと一般的な日射センサーを併設して計測値を比較したところ,快晴時のデータを用いて補正する方法が有効であることが分かった.1分毎の日射強度と全天写真を比較したところ日射強度の増減と雲の有無が対応していることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では「雲の有無やその厚さによって刻一刻と変化する地上日射量は同化データとして有用である」ことに着目し,従来は用いられてこなかった日射量の減衰量を気象予測モデルにデータ同化する手法を開発し,降雨予測の精度向上における新たなデータ同化手法の有効性,及び同化に使用する日射量データの空間的・時間的な密度(粒度)が降雨予測の精度に与える影響について評価することを目的としている.本研究では三点の問い(①日射量データ同化の理論構築,②雲水量鉛直分布の導出方法の確立,③データ同化に有効となる日射量の空間的な範囲と時空間的な密度(粒度)の検討)に取り組むこととしている. 令和4年度は,このうちの③データ同化に有効となる日射量の空間的な範囲と時空間的な密度(粒度)の検討に着手しており,時空間的に密な日射量の観測網を独自に展開できる準備を整えることが出来た.また1分毎の日射強度と全天写真を比較したところ日射強度の増減と雲の有無が対応していることが確認された.この装置を空間的に複数配置することにより,日射強度の時間変化だけでなく空間的な分布も把握できるようになる.このことのより,日射量の時空間的な減衰情報を雲の特徴量に置き換えて同化データとする手法を構築するための準備が整ったことになり,研究課題はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に開発した自立型のリアルタイム日射量モニタリングシステムを複数個制作し,時空間的に密な日射量の観測網を独自に展開する.そして,日射量の時空間的な減衰情報を雲の種類や雲量等との対応関係を明らかにする.そしてデータ同化に有効となる日射量の空間的な範囲と時空間的な密度(粒度)について検討する. なお,日射量から推定した雲水量や雲の厚さ,雲水混合比などの雲情報を直接同化させることが最も効果的な方法であると考えられるが,気象モデルにおける雲の生成には雲物理モデルが介在しているため,雲水混合比を同化データとして直接与えることは出来ない.そこで,上空に存在する雲水混合比を生み出すのに必要な水蒸気の鉛直分布や上昇気流を雲物理モデルから逆推定して求める手法を含めて,上空の雲の特徴量に合わせた効果的なデータ同化の手法について検討する.
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