研究課題/領域番号 |
22K04344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
黒川 岳司 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 教授 (50325148)
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研究分担者 |
木村 善一郎 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 准教授 (60756617)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ジェットポンプ式流動装置 / ダム湖 / 水温成層 / 水質改善 / PIV / 連行現象 |
研究開始時の研究の概要 |
水温の上昇や洪水の増加など気候変動リスクに直面しているダム湖等の閉鎖性水域の水質の改善手法として,水質場形成に大きく関与している水温成層の制御に主眼を置いた手法を確立する.装置の流動機構にジェットポンプ式を採用することで流動水の浮力の制御を可能とし水温成層面での水平貫入を延長して水温成層を効率的に緩和・破壊できる装置の開発を行い,このジェットポンプ式流動装置による成層の破壊・緩和効果を理論解析,室内実験より検証し,ダム湖等での現地実験によってその効果を実証する.
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研究実績の概要 |
本研究は,ダム湖等の気候変動リスクに直面している閉鎖性水域の有効な水質改善手法であるジェットポンプ式流動装置による水温成層の破壊・緩和手法について,理論解析と室内実験により確立し,現地実験によって実証を試みるものである.初年度は,最適な装置形状を明らかにする目的で,混合管の吸引能力の算定を理論解析とモデル実験およびPIV計測で行った.工夫として,吐出流量を容積法で直接測定する方法に変更することで,吸引性能の正確な評価ができ,混合管内の混合が完了するには管径と管長の比が10倍以上必要だが,6倍程度でも十分な吸引性能を得られることを明らかにすることができた. 令和5年度では,吐出流量の容積法による直接測定をさら改良し,吸引流量のより正確な計測を可能にしたことで,それまで曖昧であった混合管内での吸引から連行・混合過程での摩擦損失と形状損失を再設定することで理論式から吸引性能を厳密に評価することを可能とし,さらにPIV計測によって現象を可視化することで,再設定の裏付けとすることができた.一方,室内実験あるいは現地実験による検討・実証については,室内実験は初年度で予備的な実験は完了していたため令和5年度では実施しなかったが,現地実験の対象とする水域(ダム湖)において,ジェットポンプ式流動装置の導入に先駆けて,基本的な水質・流動の状況,特に水温成層の季節的な変化とそれに伴う水質の鉛直分布の特徴について調査を行った.その結果,対象水域では,水域の形状や水深,流出入の特徴から,一般的な季節的な水温成層(一次躍層)の消長とともに,深水部においては冬季でも底層に鉛直循環しない水塊(二次躍層)が存在することが明らかとなり,装置導入の効果を検討する試験地として適していると判断できた.また,対象水域の過去の水質や流動データを得て,気候変動に伴う経年変化についても検討することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の流動性能の正確な評価,言い換えると理論式中の各係数の算定に必要な装置形状に関する理論解析とモデル実験は順調に進み,必要な成果が得られた.ただし,PIV計測に関連して,計測に必須のレーザー光源が故障したため,新調することとなり年度の後半に予定していた実験が次年度に持ち越しとなった.現地観測・現地実証実験については,予備調査が順調に行うことができ,新たな知見も得られていることから全体としては概ね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
理論解析およびモデル実験については,PIV計測を中心に継続し,理論式の精度を高めていく予定である.なお,当初の計画ではPIV計測を2次元から3次元に拡張する予定であったが,モデル実験の実験方法の工夫から想定以上の成果が得られ,PIVの方は2次元のままでも全体としては必要な情報は得られることと,想定外にレーザー光源の買い替えが必要となったことから,PIV計測の3次元化に必要な物品は調達せずに実験を進める予定である.全体的な計画としては室内水槽実験と現地実験が中心に研究を行う。ただし,実証実験としては,現地では準備等に時間が要する可能性があるので,年度の前半は様々な条件で短い時間スケールで結果が得られる室内水槽実験で実証実験を重ねた上で,年度の後半で現地での実証実験を行う予定である.
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