研究課題/領域番号 |
22K04345
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
加藤 亮平 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (70811868)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 局地的大雨 / 数値予測 / データ同化 / 雲レーダー / 選択的同化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではこれまで申請者らが開発してきた局地的大雨予測に対する雲レーダー同化手法の実用化に向けた高度化として、①雲と雨が共存する場合の同化手法を2通りの方法(A:雲領域のみを同化する方法、B:発達する雲のみを追跡して選択的に同化する方法)で検討した後、②実用化を想定した雲レーダーデータの時空間解像度の検討を行い、③高度化した手法を多数事例で統計的に検証することで、実用化に耐えうる雲レーダー同化手法を確立する。
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研究実績の概要 |
「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局地的大雨は、河川の急な増水や道路の浸水などを通じて時には人的被害をも引き起こすため、その予測手法の開発は重要な研究課題である。局地的大雨の一時間以内の短時間予測技術の一つとして、高解像度気象数値モデルを用いた数値予測が挙げられる。数値予測による局地的大雨予測の鍵は、観測に近い適切な初期値を作成することであり、これはデータ同化という技術によって行われる。本研究では、局地的大雨を引き起こす積乱雲の発生段階の雲を観測することができる雲レーダーの同化手法を高度化することで、雲レーダー同化による局地的大雨予測の実用化に向けた問題点の解決を目指している。
実用化に向けた大きな問題点として、衰弱中の雲を同化することで偽の雨が予測されてしまい予測精度が低下することが挙げられる。そこで、昨年度は発達中の雲のみを選択的に同化する「選択的同化手法」を開発し、これまで降水データに対して適用されてきた積乱雲自動追跡プログラムを雲レーダーデータに適用可能とする高度化を行った。その結果、1分毎の雲レーダーエコーを自動的に追跡し、雲領域の面積、最大反射強度、体積などのパラメータを自動で抽出し、その時間変化を利用しすることで、発達する雲とそうでない雲を自動で識別するプログラムを作成した。
今年度は、2018年8月3日の局地的大雨事例に対して、開発した選択的同化手法の有効性を検証した。選択的同化手法を適用しない予測実験では、局地的大雨は予測されたが、偽の雨も予測されていた。この偽の雨の予測は、衰弱中の雲が同化され、その雲の領域が加湿されることで生じていた。一方で、選択的同化手法を適用し、3次元の雲レーダーデータ(反射強度)において発達中の雲のみを同化した予測実験では、偽の雨を抑えることができ、局地的大雨のみを正しく予測することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は予定どおり雲レーダーの選択的同化手法を実事例へ適用することができた。さらに、雲レーダーによる局地的大雨予測に対して選択的同化手法の有効性を世界で初めて実証することができた。この点は、大きな成果であるといえる。一方で、雲レーダーと降水レーダーを組み合わせた予測手法の開発には着手できなかった。このため、進捗状況はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
開発した選択的同化手法を用いた予測実験を複数事例で行い、統計的な有効性を検証する。また、雲レーダーと降水レーダーを組み合わせた予測手法の開発、及び、雲レーダーデータの時空間解像度の検討を行う。得られた成果を学会等で発表するとともに、論文化を進める。
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