研究課題/領域番号 |
22K04350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
猪井 博登 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (70403144)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 社会的孤立 / サイバーフィジカルシステム / 公共交通 / 効果評価 / 公共交通計画 / クロスセクターベネフィット |
研究開始時の研究の概要 |
公共交通の利用により孤立が解消されるかを定量的に明らかにすることを目的に,特に孤立の早期の段階に公共交通の利用により生じるつながりが有効に作用すると考えられるため,孤立の早期かつ軽度の状況を把握できる方法の開発が本研究の目的である。具体的には,医学分野の未病研究を中心に使用される動的ネットワークマーカー法(DNM)を適用し,スマートデバイスなどから得られる生体データやスマートメーターなどから得られる生活データから孤立状態に表現する指標を明らかにする。孤立状態に表現する指標を公共交通利用時,公共交通の状態別に計測し,指標の変化から公共交通の利用が早期かつ軽度の孤立状態を解決できるかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究における研究課題の核心をなす学術的「問い」は,「公共交通の利用で孤立が解消されるか」を定量的に明らかにするである。サイバーフィジカルシステム(CPS)を適用し,生体データ,生活データを収集し,これと既存の孤立指標の間の関係性を明らかにし,孤立の度合いを即時的に表現する指標を構築することが本研究の目的である。この研究目的に対して,当該年度は,孤立の計測方法に関する検討,孤立の計測に使用するCPSの選定,公共交通の利用が孤立の深刻化を解消するかについての検証を行った。 孤立の計測方法に関する検討については,既往文献のレビューを行い,孤立度の主な計測方法として,会話量による評価,調査票法による評価などがあることを整理した。さらに,CPSとして計測が容易かつ社会的孤立度に影響していると考えられる歩き方(歩様)による計測を行うこととした。また,後述するアンケート調査を使用し,調査票法による孤立の計測を方法を確立した。 孤立の計測に使用するCPSでは,ウェアラブル端末を想定し,その選定を行った。孤立の計測方法に関する検討で整理した会話量に着目し,会話量が計測できるウェアラブル端末を取得し,計測値の感度の検討を行った。さらに,歩様の計測方法に関するウェアラブル端末の選定を行った。 公共交通の利用が孤立の深刻化を解消するかについての検証については,アンケート調査を行い,検証を行った。公共交通の利用については,現在の利用状況に加え,過去の積み重ねが現在に影響するという仮説を設定し,ライフステージごとに区分した交通利用履歴を調査した。その結果,社会的孤立は比較的若い世代での交通手段利用履歴や日常的な公共交通の利用頻度や利用目的と関係性があることが分かり,公共交通が社会的孤立の深刻化が解消できる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究計画では、本年度よりウェアラブル端末による計測を行う予定であったが、今後の計測が効率的に行えるように孤立の計測方法に関する検討を行うこととした。その結果、当初計画よりウェアラブル端末でより計測しやすい歩き方(歩様)の計測を行うことを決定できたため、順調に進展していると判断した。 加えて、公共交通の利用が社会的孤立の解消や軽減に有効に寄与するのかが不明確であった。アンケート調査を用いて検証の結果、公共交通を利用の有無が社会的孤立の度合いに有効な影響を与えることが分かり、本研究の設定した仮説の検討が行えた。さらに、ウェアラブル端末では、多くの属性の被験者からデータを取ることは難しいが、アンケート調査法を適用したことにより、多くの属性の回答者からのデータを得ることができ、今後の研究成果の解釈に重要な知見を得ることができた。このような成果を得ることができたため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度検討した「孤立の計測方法」をもとにウェアラブル端末でデータを収集し、社会的孤立度の計測を行う。 ウェアラブル端末では、当初予定していた心拍変動をもとにしたストレスの計測に加え、歩き方(歩様)を計測する。歩き方(歩様)について特に着目し、3軸加速度計による計測を行う予定である。加えて、会話量計なども併用して、社会的孤立度の把握を行う。
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