研究課題/領域番号 |
22K04351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高瀬 達夫 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (10283235)
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研究分担者 |
森本 瑛士 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (60899326)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | フラクタル次元 / 街路空間 / 脳波 / 夜間照明 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は道路交通安全性を向上させるために、道路交通や街路空間の形成に大きな影響を与える色彩や明るさの連続性の状態をフラクタル次元を用いて定量的に表現し、色彩の変化や明るさの連続性や誘導性が、運転者の心理的状態に及ぼす影響や交通安全性にどのような影響を与えるのか脳波特性を用いて分析する。さらに、長野県の地理的特徴を生かして冬季積雪時についても取り上げ、積雪による明るさや色彩の変化の影響についても明らかにする。そして、夜間の道路照明や横断歩行者認識用照明等の配置計画や昼間の道路景観の形成計画における有効な指標としてのフラクタル次元の導入可能性について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は道路交通安全性を向上させるために、道路交通や街路空間の形成に大きな影響を与える色彩や明るさの連続性の状態をフラクタル次元を用いて定量的に表現し、色彩の変化や明るさの連続性や誘導性が、運転者の心理的状態に及ぼす影響や交通安全性にどのような 影響を与えるのか脳波特性を用いて分析することを目的としている。 本年度は研究開始年度にあたり、まず一般道や生活道路、住宅街の街路等周辺状況の異なる様々な街路を分析対象として選定した。ここでは特に夜間照明の連続性を考慮するため、1km以上のカーブの少ない直線的な街路を選定した。そして抽出した街路空間ごとに、一定の間隔で画像を抽出して路面の輝度の計測を行った。さらに道路の明るさや色彩の分布状態をフラクタル次元の特性のひとつである情報次元を用いた手法を用いた。フラクタル次元の算出にあたっては、実際に測定した輝度とPC上で取り扱う階調値との関係性を明らかにしたのち分析を行った。次に、夜間照明の誘導性を考慮するため、緩やかな弧を描く道路線形を有する街路を選定して分析を行った。カーブ時のドライバーの視線の移動に対応するため、コンバージョンレンズを用いて撮影を行うことを試み、フラクタル次元の計測を行った。 そしてフラクタル次元を計測した街路について、被験者に対象街路の動画を見てもらい、アンケート形式の意識調査をおこなった。さらにフラクタル次元や街灯の間隔などの定量化された値と定性的な値である運転者の心理的要因を用いて、ドライバーの安心評価モデルを作成し分析をおこなった。モデル分析の結果、夜間の運転時の安心に影響を与えている要因は、フラクタル次元の増減回数と視界内の道路照明の数であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画通り、まず夜間照明の連続性を考慮するため、一般道や生活道路、住宅街の街路等周辺状況の異なる様々な街路、特に直線的な街路を対象としてフラクタル次元を測定し、運転者の心理的状態に及ぼす要因について分析を行った。その後、すみやかに運転者の心理状態を脳波測定を行い分析を行う準備に移る予定であった。しかしながら、道路の誘導性について当初の研究計画では直線的な街路のみを対象として分析するつもりであったが、分析を行っている過程で、緩やかな弧を描くカーブこそ誘導性が求められるのではないかと考え、緩やかな弧を描く道路線形を有する街路を選定して分析を行った。この場合、視線が移動するという点を検討する必要があり、試行錯誤を繰り返し分析に至った。こうしたことから、脳波測定のための準備期間が次年度にずれ込むこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
道路走行空間において、運転者の心理的状態の変化を計測するために、脳波センサーを装着し動画を用いてシミュレーションを行い、脳波測定器を用いて脳波データを計測するが、まず、実験が適切に行われるよう最適な測定環境をどのように構築するか準備をおこなう。またこの脳波特性と心理的評価の関連性について明らかにするために、予備的な実験を行うこととする。測定された脳波は解析ソフトを介して周波数領域での強度を表わすパワースペクトルに変換する。α波は8~13Hz、β波は14~38Hzの周波数帯に位置する脳波であり、α波、β波それぞれの出現強度は該当周波数帯でのパワースペクトルの積分値で与えることとし、それぞれα波、β波のパワー値と呼び、これらの値を脳波特性として評価に用いることとする。
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