研究課題/領域番号 |
22K04357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
松本 幸正 名城大学, 理工学部, 教授 (30239123)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コミュニティバス / GTFS / サービス水準 / 往復 / OD / トリップ特性 / 乗り継ぎ / 地域公共交通 / 階層型ネットワーク / AI / サービスレベル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究でははじめに,A地点からB地点へのバスでの移動に関するサービス水準を表す総合指標をGTFSを利用して構築する.続いて,多様な交通手段で構成されるネットワークへの拡張を行う.階層型ネットワークを想定したWEBアンケートの結果も用いて,他手段への乗り継ぎも含めた移動のサービス水準を表す指標を構築するとともに,利用者数の予測を行う.さらに自治体アンケートを行い,自治体の地域特性に照らした地域公共交通網の相応しさのランクをAIによって判定するシステムを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では,はじめに,A地点からB地点へのバスでの移動に関するサービス水準を表す総合指標を,GTFSを利用して構築する.続いて,多様な交通手段で構成されるネットワークへの拡張を行う.そのため多様な交通手段で構成される階層型ネットワークを想定したWEBアンケートを実施して,他手段への乗り継ぎも含めた移動のサービス水準を表す指標を構築するとともに,利用者数を予測するモデルの開発を行う.さらに自治体アンケートを行い,自治体の地域特性に照らした地域公共交通網の相応しさのランクをAIによって判定するシステムを開発することを目的とする. 令和4年度は,日進市のコミュニティバスを対象に,これまでに考案してきたバス停間ODのサービス水準を表す個別指標を見直した.特に,帰りの移動に着目した指標,実際の道路に沿った距離や時間指標,標高差などをGTFSとGISを活用して算出した.また,サービス水準を利用者視点で表すと考えられるトリップ数と各指標との関係を,特に往復利用に着目して分析を行った. 往復利用の特性として,降車から乗車までのバス降車後の活動時間を分析し,通勤,通学目的では8時間前後の活動が多くみられ,通院,買物,私用では2時間前後の活動時間が多くみられることを明らかにした.65歳以上では,2時間前後の活動が多く,7時間以上の活動になると65歳未満の方が多くなることも明らかになった.再編によって往復利用が増えたバス停間ODの特徴として,活動時間が長くなり,運行本数が多くなり,運賃が安くなったODであることが明らかになり,これらが往復利用を考慮したバス停間ODのサービス水準を表す指標に使えることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は,年度当初から新型コロナウィルス感染症拡大防止のため,教員ならびに学生は,研究活動を自由に行える状況ではなく,計画通りに研究が進まなかった.特に,第7波の感染拡大もあり,公共交通の利用者は大きく落ち込んだまま回復を見せず,また,依然として外出が抑制されていたことから,WEBアンケートの実施を見送った.その後も,令和4年内までは状況が好転せず,遅れを取り戻すことが難しかった.その結果,乗り継ぎを含めたバス停間ODのサービス水準の指標化までには至らなかった. そのような研究活動が制限された環境下ではあったが,公共交通の利用実態を反映することなく実施可能な研究を進めることができた.具体的には,支線等への乗り継ぎを含んだA to B間の需要予測のために用いるマルチエージェントシミュレーションの開発に,計画を前倒しして着手し,この点では計画以上の進展となった.開発したマルチエージェントシミュレーションでは,定時定路線のコミュニティバスにおけるODトリップを忠実に再現できるようになった.また,トリップに基づく各指標をこのシミュレーション結果からも算出できるようにした. 以上のことから,マルチエージェントシミュレーションの研究開発は前倒しで進めることができたが,WEBアンケートの実施見送りによる乗り継ぎを含めたバス停間ODのサービス水準の指標化までには至らなかったことから,”(3)やや遅れている”と自己評価することにした.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に実施を見送った,バスでの許容される乗り継ぎ形態を明らかにするためのWEBアンケートを実施する.この結果を用いて,乗り継ぎを許容される割合別にランク分けするとともに,バス停間ODのサービス水準を表す個別指標と総合化させながら,実際の利用者数とを比較分析し,乗り継ぎを含めたバス停間ODのサービス水準の指標化を行う. 同時に,令和5年度に予定している小型巡回バスやオンデマンドタクシー等を対象とした利用意向や乗り継ぎシステムに関する行動を調査するWEBアンケートを,別途実施する.この結果を基に,多手段階層型地域公共交通網におけるA to Bのサービス水準の定量化を行う. 2種類のWEBアンケートの実施と並行しながら,マルチエージェントシミュレーションの開発も進める.令和5年度は,定時定路線のバスを対象としたシミュレーションから,A to Bのシミュレーションが可能なように,バス路線間の乗り継ぎとバス停までの徒歩移動を含めたシミュレーションを完成させる.また,研究に進捗が見られたら,オンデマンド型の交通システムについての研究開発に着手する. 以上の研究進捗により,令和4年度の研究計画に対する遅れはほぼ取り戻すことが可能と考えている.
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