研究課題/領域番号 |
22K04376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕識 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20762272)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 天然有機物 / 励起-蛍光マトリクス / 精密質量分析 / フミン酸 / 環境化学物質 / EEM / 相互作用 / 水環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、NOMの特性解析手法の一つである三次元励起・蛍光スペクトル法(EEMs)による分析結果と、近年進歩が目覚ましい精密質量分析技術を用いた環境化学物質等の分析結果を組み合わせてデータベース化する。過去には個々に測りっぱなしであった分析データを体系的に整理し解析することで、NOMと環境化学物質の間での分解生成・上下水処理阻害・輸送などの諸関係を紐付け、類型化して登録する。得られたデータベースを基に、NOMと環境化学物質との相互の関係や作用を解析し、新たな天然有機物関連物質の環境運命の解明につながる知見を蓄積する。集約された知見は公共用水域や上下水道の管理高度化に役立つことが期待される。
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研究実績の概要 |
天然有機物であるフミン酸を対象に、5種の異なる起源由来の標準品の三次元励起・蛍光スペクトル(Excitation Emission Matrix:EEMs)分析データとLC-FLDの分析データにおける蛍光スペクトル情報の突合、LC-FLDとLC-QTOF/MSにおける分析データの保持時間情報の突合によるデータ紐づけ手法を検討し、簡易・迅速な方法として確立した。
EEMs測定用試料とLC-QTOF/MS測定用試料について、前処理を統一した同一試料とした場合に作業効率性は向上するもののLC-QTOF/MS測定前処理の影響によりEEMs測定が阻害されるため、個別の前処理作業フローが必要であることを明らかにした。また、EEMs測定データについては、試料のろ過操作に関して、穴径1μm、0.45μm、0.2μmの各フィルターのろ液によって測定結果に違いがあることを確認した。EEMsデータのアウトプットを効率化するためのExcelツールを作成した。これらの情報を集約し、LC-QTOF/MS測定データとEEMs測定データの突合における注意点を整理した。
確立した調査・前処理手法に基づいて、水道水、水道原水、河川水、流入下水、下水処理水などの多様な環境水試料のEEMsデータとLC-QTOF/MSデータを蓄積した。さらに、構築した測定データ解析手法により、LC-QTOF/MSから取得される質量電荷比情報(コンポーネント)、LC溶出時間とEEMsから取得される励起・蛍光スペクトル情報を併せて記録したデータベースを拡充した。今後は、見出された研究手法に基づいて、フミン酸等の標準試料を用いて塩素処理実験を行い、実験前後の分析データの差異から、浄水処理における天然有機物の挙動を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度の目標であった三次元励起・蛍光スペクトル(Excitation Emission Matrix:EEMs)分析データと精密質量分析LC-QToF/MSデータの紐づけによる天然有機物の複合データベース(DB)の作成について、その紐づけや夾雑情報除外の操作手順の構築が計画以上に進捗し、その手法の改善まで迅速に取り組むことができていたが、塩素処理実験について、研究環境再整備の必要性から開始が遅れている。研究期間中での整備を予定している環境水データベース自体は順調に拡充できていることを踏まえ、総合的には順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
見出されたデータベース構築手法を用いて、天然有機物に対する複合データベースのさらなる拡充を目指す。また、水道原水を含む多様な環境水調査を実施し、データベース情報との比較から天然有機物の環境中挙動を解析する。さらに、フミン酸等の標準試料を用いて塩素処理実験を行い、実験前後の分析データの差異から、浄水処理における天然有機物の挙動を検討する。
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