研究課題/領域番号 |
22K04380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
中澤 暦 富山県立大学, 工学部, 講師 (10626576)
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研究分担者 |
永淵 修 福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (30383483)
芳賀 弘和 鳥取大学, 農学部, 准教授 (90432161)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 年輪コア / 屋久島 / 大気中水銀 / 林業集落 / 水銀 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化の影響を大きく受ける北極域での永久凍土や氷河融解により水銀の大気圏、水圏へ再放出が社会・環境問題になっている。しかし、人間活動の激しい北半球の中緯度域での大気中水銀の沈着、再放出および産業革命以後の水銀濃度変動についての報告は少ない。日本は、大気中水銀排出量の多い東アジア大陸の東側に位置し偏西風により暴露されやすく、生物地球化学的解析を行う最適地である。我が国の陸域に蓄積されてきた水銀は、地球温暖化の程度によっては再放出される懸念がある。東アジア大陸から輸送される大気中水銀の沈着と再放出を明らかにする。年輪コアから産業革命後、約350年の人間活動が地球環境に及ぼした影響を評価する。
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研究実績の概要 |
2022年度は人間活動の営みに着目し、屋久島の年輪コア中水銀濃度の変遷とその起源について検討した。 大気汚染物質が輸送されやすい自由対流圏高度(1,370 m標高) で採取した屋久島のモミ群落の年輪コア中水銀濃度の変遷から(n=30)、2000年代以降では経済成長著しい東アジア大陸からの水銀の長距離輸送の痕跡を見出した。一方、研究代表者らは1950年代にも水銀濃度のピークが見られることを明らかにした。東アジア大陸は文化大革命終結後の1980年代以降に急激に経済発展し、日本国内における硫黄酸化物や窒素酸化物の経年変化にもその変化が見られる。そのため、モミ群落の年輪コア中水銀濃度の1950年代のピークの要因は東アジア大陸由来ではないと考えられる。水銀の大気への放出源の一つとしてバイオマス燃焼が挙げられる。本研究ではこれまで注目されてこなかった、屋久島山中におけるバイオマス燃焼を主とした人間活動の営みに起因する大気汚染に着目する。2023年度は戦前戦後の我が国の木材需要と屋久島島内での林業状況 (屋久島山中での人間活動の営み) との関連について研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
022年度は、研究代表者らが、これまでに長期にわたって調査を行ってきた屋久島で採取した年輪コアに含まれる水銀濃度の変遷とその起源を明らかにすることを目標に研究を進めた。さらに、北極圏(アラスカ)において年輪コアの採取も行った。新型コロナウィルス感染症拡大の影響が残る状況であったので、調査や研究打ち合わせを最小限にしつつ、過去採取した試料を用いて検討を行った。 結果、年輪中水銀濃度の変遷を捉えることができ、かつ、今後の方針についての方策を練ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
屋久島で採取した年輪コア中水銀濃度の変化から、2000年代の水銀濃度の上昇は東アジア大陸の発展に由来する大気中水銀の長距離輸送の可能性が考えられた。一方、1950年代の水銀濃度の上昇は屋久島島内の林業活動の影響の可能性がある。今後、林業活動跡付近での年輪コアの採取を行うなどして、人間活動と年輪コア中水銀の動態について検討を行う。また、水銀のみならず、鉛安定同位体比を用いた起源解析にも取り組む予定である。
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