研究課題/領域番号 |
22K04394
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 篤司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00362319)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 乾式接合 / 軽量形鋼 / ボルト接合 / ドリルねじ接合 / 併用接合 / 接着接合 / 耐力 / せん断破壊 / 摩擦抵抗力 / 支圧抵抗力 / 塑性変形能力 / ドリルねじ / 組立部材 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、建築施工が容易にできるボルト接合による軽量形鋼構造システムを開発する。建築空間を形作る架構は、柱や梁といわれる構造部材によって構成されており、自然外力(例えば、地震・台風)に抵抗できるように設計され、その機能(使用性・安全性)を維持している。建築構造材料の1つに鋼があり、その接合法の一つとしてボルトがある。ボルト接合(乾式接合)は「締付ける」という誰もができる作業であることから、適切な工具を用いることでその品質を確保することができる。乾式接合のみを用いた構造システムを提案し、耐震設計の考え方を実部材実験の現象と結果を考慮しながら構築する。対象とする建物規模は小規模建物とする。
|
研究実績の概要 |
本年度は,乾式接合に用いることができるドリルねじおよびボルトを用いた実大接合部実験を実施した。対象とする部材は,ドリルねじに対応できる板厚となるため,6mm以下を対象としている。したがって,建物規模としては中低層程度(3~4階建て)となる。ドリルねじを利用した構造形式として薄板軽量形構造建築物があり,2.3mm未満の板厚を対象としている。したがって,本研究では、主要構造部材の板厚は3mm程度周辺を対象として,接合部などの応力が集中する部位に最大となる6mm程度を利用することを想定している。近年では鋼材同士を接着材で接合する技術が車両分野で急速に普及しており,その性能が実証されています。鋼材板厚が薄い場合には接着接合は効果を大きく発揮するため,本年度の計画には接着接合を追加し,実験を実施することととした。 現在は認められていないドリルねじとボルトの併用は、最大耐力において累加則が成立することを確認した。ただし,接合要素であるドリルねじとボルトの終局状態が同じせん断型の破壊をする場合に限定される可能性があることを確認した。また,新規に追加した接着接合では,ボルト接合特有のすべりが接合部では発生せず,建築構造設計において有利となる条件があることを確認すると同時に,接着接合が十分な構造性能を持っていることも確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軽量形鋼を用いた構造システムを開発することを目的として,耐震設計で必要となる建物の靭性能の付与を部材では無く,接合部で確保することを目指した構造システムを提案している。したがって,接合部の弾塑性挙動(擬似塑性ヒンジ)の力学的挙動の把握は非常に重要となる。その他の主要構造部材は弾性状態を維持することを目的としているため,既存の設計体系を利用することができる。 重要となるドリルねじとボルト接合部の挙動は実大実験で検証することができており,その構造性能は耐震設計で十分に利用できることを確認した。また,近年急速に普及している接着剤も用いた接合部も十分に利用の可能性があることを確認した。 接合部要素レベルの実験を本年度は精緻に確認できたため,次年度のシステムレベルでの挙動推定に十分に活用できる成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の予定としては,要素レベルで確認した内容をシステムレベルに拡張し,実構造物の設計に活用できる構造システムの提案を試みる。システムレベルの実大実験を実施するためには十分な時間と予算が無いため、本年度については数値シミュレーションを実施し,実験で精緻に明らかにした内容を反映して実挙動の予測を試みる。なお,主要構造部材の柱や梁は弾性状態維持することを提案する構造システムでは目指しているため,シミュレーションは接合要素のモデル化のみで十分に達成できると考えている。 建物の耐震設計では,仕様性を考慮した弾性設計、安全性を考慮した塑性設計が実施される。塑性設計は建物を損傷させて地震エネルギーを吸収思想に立脚していることから,本システムでの接合部がその部位に該当する。どの程度塑性化を許容し,またどの程度の外力に対して部材を決定するのかなど,今後の中で提案を試みる。
|