研究実績の概要 |
金属系スラグのコンクリート用骨材としての有効利用が考えられる。コンクリート用骨材として用いることで,資源の有効利用,代替骨材としての安定供給などの環境面でのメリットがある。しかしながら,現在もコンクリート用骨材として積極的に利用されていないのが現状である。その要因として,耐久性に関するデータ不足,高炉スラグ細骨材の品質管理等の課題があげられる。品質管理が困難な理由として,高炉スラグ細骨材は潜在水硬性を有しているためである。この特性は,骨材が水を含んだ状態で放置しておくと自ら水和反応を起こし,自ら固結する現象である。 初年度は①温度環境条件(積算温度)と骨材変質の検討,②骨材変質がコンクリートの収縮特性に与える影響に関し実験的に検討をした。 その結果,(1)高炉スラグ細骨材に積算温度を与えると,表面から変質していくことが確認できた。(2)圧縮強度試験の結果,OPC・BFSは養生方法・期間によって同様の強度発現性能が得られた。(3)強度試験(圧縮強度試験・割裂引張強度試験)の結果,積算温度900~4800°D・Dの高炉スラグ細骨材を使用したコンクリートでは,積算温度1800・4800°D・Dは強度増加が認められた。(4)自由収縮試験の結果,積算温度900~4800°D・Dの高炉スラグ細骨材を使用したコンクリートでは,OPCに比べ収縮が小さくなった。また,積算温度が高いほど収縮が小さくなった。(5)SEMでの反応層の観察をした結果,積算温度1800°D・Dの時点で反応層が確認できた。 これらより,積算温度1800°D・Dの高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートを用いると強度増加・収縮系低減効果が期待できる。この結果より,どの程度の積算温度で品質管理すればコンクリート用骨材として充分に適用可能かの目安が得られる可能性が示唆された。
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