研究課題/領域番号 |
22K04413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
田淵 敦士 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90514191)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 藁スサ / 温湿度 / 水合わせ / 告示 / 壁土 / 圧縮強度 / 伝統木造建築 / 土塗り壁 / 強度 |
研究開始時の研究の概要 |
木造建築が二酸化炭素吸収源対策の一環として期待される中、伝統木造建築は経験的・定性的に施工条件や強度性能を扱われている。集成材やCLTを中心として木造建築が非住宅建築で設計・建設されるなか、伝統木造建築も性能設計を目指していく必要がある。そのために解決しなければならない課題として、大きく品質管理と設計法の2つがあり、本提案では品質管理に着目して研究を行う。特に水合わせ条件を温度と湿度と時間を軸として強度性能を明らかにすることを目的とし、経験的・定性的な荒壁土の品質管理から 工学的・定量的な品質管理を目指す。さらに品質管理の規格化・標準化の起点とすることができる。
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研究実績の概要 |
主として今年度は荒壁土の強度発現に際して、藁スサの量と圧縮強度特性の関係について実験的に考察を行った。 現在建築基準法施行令第46条に関しての規定である、いわゆる壁倍率の評価において建設省告示第1100号で1.0から1.5の数値が充てられている。この告示の中で荒壁土の仕様として百リットルの粘性のある砂質粘土に対する藁スサの量を0.4キログラム以上0.6キログラム以下混合するもの(告示規定)とされているが、あわせて同等以上の強度を有するものとも示されている。この藁スサの量を増やすと強度的な変化がどうなるかを調べた。水あわせの時期はある程度の気温と湿度が必要なので、京都の5月から8月の温湿度を想定した場合の比較を行った。水合わせ期間が1ヶ月の場合、8月の条件からでは告示想定の2倍の藁スサを入れた場合の圧縮特性が同等か、やや大きな値を示した。それに対して5月の水合わせに対しては圧縮強度が15%減、圧縮剛性が10%減、7月の場合は強度、剛性ともに5%程度小さくなる傾向を示した。これらのことから温度湿度の高くなる夏場にかけての環境下では藁スサの量を増やしても告示規定に対して同等の強度を有するものとして判断できそうであるが、やや気温の低い時期では必ずしも同等とは言えない可能性が示唆される結果となった。一方で、気温が低い時期に水合わせを開始したとしても、適切な水合わせ期間を設定することで告示規定と同等な強度が発現する可能性も示唆される結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水合わせ条件を整えるための恒温恒湿器が不安定な状態になることがあった。特に温度が低い時期の設定をした場合、温度条件に関しては水合わせの環境を整えることが可能であるが、湿度の制御が不安定になるため、想定していた条件の供試体を作成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果から、藁スサ量が告示規定に影響を及ぼさない、つまり同等の強度を有するためには藁スサの腐朽が重要さを持っていることが裏づけれらることとなった。そのため藁スサの量を増やした時に告示規定と同等になる温湿度条件を探す。
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