研究課題/領域番号 |
22K04419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
横井 健 東海大学, 建築都市学部, 准教授 (00401547)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コンクリート床下地 / 凹凸精度 / 上面仕上げ作業 / 適正労力 / 作業マニュアル / 施工管理 / 品質向上 / 省力化 / 床コンクリート工事 / 性能 / 施工メニュー / 費用対効果 / 適正労務 |
研究開始時の研究の概要 |
コンクリートには、構造体としての強度だけではなく、仕上げ材の下地としての精度が求められる。特に、型枠に接していない床は、上面を作業担当者の手作業で仕上げる必要があり、作業の良否で精度が大きく変化する。しかし、近年の工期短縮の風潮は、上面仕上げに費やす労力を大きく削減し、凹凸の大きい床下地を多数出現させる原因となっている。その結果、補修が必要となり、かえって工期や工費が嵩む本末転倒な事態が多発している。 本研究は、要求精度を具現するために適切なコストを示した施工メニューを提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は、作業担当者の手作業で仕上げるコンクリート床下地の凹凸精度を確保するために適切な労力コストを示した施工メニューを提示することを目的としている。研究初年度は、上面仕上げ作業を担当する業者が自作しているマニュアルを複数社分集め、共通点を把握した。さらに、作業内容を分析するとともに作業担当者へのヒアリング調査を実施し、各作業が凹凸やその他の主要な表層部品質にどう影響するかを分析した。 作業担当者のマニュアルは、基本的には作業手順とその具体的方法(あわせて『施工仕様』という)だけ書いてあれば必要十分であり、作業が品質に及ぼす影響などは通常は記載されていない。余分な情報は、施工仕様を確認する際に必要な情報をかえって探しにくくする、むしろ冗長なものとなる。しかし、その結果、施工管理担当者には各作業の必要性が伝わらず、工費削減・工期短縮を優先するあまり、性能確保のために必要な作業まで省略された施工仕様を提案してしまうことが、残念だが非常にしばしばあるという。今年度の成果は、こういった悪習に歯止めをかけるのに必要な情報を整理できたと位置付けられる。さらに、作業担当者不足が問題となっている中、志望してくれた貴重な人材に対する新人教育として親切な入門テキストという役割も担うことができる。すなわち、まだ新人の作業担当者は、ひとつひとつの作業・方法の理由に対しての理解が、当然不十分であるが、作業が性能におよぼす影響を理解することにより、早期の技術向上が望める。 また、凹凸と並ぶ床下地の重要な表層部品質にひとつである含有水分量に関し、最も一般的な測定方法である水分計法について、実験研究により学術的な位置付けを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に初年度計画に含めていた、『凹凸に影響が大きいと考えられる工程を抽出する模擬床下地作製実験』と『抽出した工程が本当に凹凸に影響が大きいかを確認する現場実験』は、実施しなかった。これは、上面仕上げ作業担当者のマニュアルの整理・分析で十分に影響が大きい工程を把握することができたため、外部協力者への依存度の高い実験を多大な労力を費やして実施する必要がなくなったと判断したことによる。したがって、初年度の目標は達成できたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3カ年の2年目は、初年度に抽出した凹凸に影響のある工程に関し、さらに深い考察を行う。具体的には、各工程労力に差を儲けた施工条件で作製した床下地模擬試験体の凹凸を測定し、労力と凹凸の定量的関係を得る。 この実験結果に基づき、3年目には、より凹凸精度の良い床下地を作成するための施工メニューを提案するとともに、同程度の凹凸精度であればより省力化できる方法を模索する予定である。
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