研究課題/領域番号 |
22K04427
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山岸 明浩 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (80230340)
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研究分担者 |
下山 真衣 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (00609620)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 特別支援学校 / 温熱環境 / 環境調節手法 |
研究開始時の研究の概要 |
教育施設の温熱環境の研究は,近年では暑熱環境や感染症予防をテーマとした研究が進められているが,特別支援学校に着目した研究成果はこれからの段階である。 本研究では,これまでの知見を特別支援学校に応用し,知的能力障害を伴う子どもの温熱環境について,継続的な環境計測と教員へのヒアリング調査により得たデータの分析により,学習活動上の課題を解明するとともに,教育現場で実践可能な環境調節手法を提案することを目的とする。 これにより,省令等を含めた環境整備が進む特別支援学校において,温熱環境の視点から健康で安全な環境づくりの実現に向けた新たな展開を拓こうとするものである。
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研究実績の概要 |
令和5年度においては,令和4年度に構築したネットワーク環境を活用した自動データ収集システムを用いて,研究対象とした特別支援学校の温熱環境の実態把握を前年度の冬季から今年度の秋季まで実施した。冬季の温熱環境の実態の解析を通して,教室の温熱環境の実態については暖房運転の有無による温湿度変動が大きく,暖房時には20℃,非暖房時には10℃程度となっていることが明らかとなった。また,CO2濃度は教室使用時には一時的に1,000ppmを超えるケースが認められた。さらに,調査対象とした建物では,暖房運転により外気の影響を受けずに教室の気温が20℃程度に制御されていたが,暖房時においては低湿環境となる実態が明らかとなり,子ども達の健康管理上の課題が示唆された。このことについて教員への聞き取り調査の結果,現状の低湿環境への対策としては,感染症防止対策の観点から空気清浄機能付き加湿器の導入を行っているが,加湿器の容量不足により十分な加湿効果が得られていないこと,加湿器のメンテナンス(フィルターの清浄)上の理由から,加湿器の使用を控えている事などの状況が明らかとなった。この様なことから,冬季暖房時の低湿環境への対応として教育現場で実践可能な手法を検討するために,比較的安価な大容量でメンテナンスの手間が少ないと考えられる加湿器(Dainici製HD-PN155,加湿量1,500mL/h)の設置を2024年2月に測定対象の3教室(小学部・中学部・高等部)で実施した。 さらに,令和6年度の夏季(暑熱環境期)における温熱環境改善手法の検討に向けて,2024年3月に研究対象校において教頭・各学年主任の教員との情報交換会を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は,令和4年度に構築したネットワーク環境を活用した自動データ収集システムを用いて,研究対象とした特別支援学校の温熱環境の実態把握を前年度の冬季から秋季までに実施した。また,前年度の冬季の温熱環境の実態の解析を踏まえ,冬季の低湿環境改善のための対策を開始した。初年度における国際情勢の影響による測定環境構築の遅延により実態把握の検討がやや遅れているとともに,当初の予想に比べ環境改善手法の検討には時間を要している現状である。 研究実施にあたっては,研究対象の特別支援学校の校長,教頭,および教職員との良好な連携協力関係の維持がなされている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度においては,夏季の暑熱環境時について令和5年度の実測データによる分析より明らかになった課題に対して,教育現場で実践可能な環境調節手法について検討する。昨年度末に実施した調査対象校の教員との情報交換では,夜間換気と散水による環境調節が実施可能と見込まれるが,実測データによる検証もふまえながらこれらの効果についての検討を行う。 なお,国際情勢による実測システムの構築の遅れにより,本課題に対する十分なデータが不足していることから,研究期間の延長を申請し研究成果の充足を行う予定である。
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