研究課題/領域番号 |
22K04429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高田 真人 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (30581376)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | パークレット / 都市緑化 / ウォーカブル / 熱中症 / ヒートアイランド現象 / 駐車場 / アメニティ / 生態系 / 温熱環境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,密閉・密集・密接を回避し都市にウォーカブルで快適な屋外生活空間の創出を目指し,駐車場に置けるユニット型パークレットの開発,そのパークレットに導入可能な緑化ユニットの開発,更に温熱環境の改善とアメニティの向上を両立するパークレットの運用方法の検討を行う. 以下の効果を期待する.①都市にパークレットを増やし密を回避しつつ都市空間を豊かにする.②近年増加している都市型の駐車場を緑化することでヒートアイランド現象と屋外生活空間の温熱環境の悪化を改善する.③在来種を中心に緑化することで都市化により失われた生態系を回復する.④温熱環境だけでなくアメニティも向上させる運用方法を開発する.
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研究実績の概要 |
本研究は,三つの密(密閉・密集・密接)を回避し都市にウォーカブルで快適な屋外生活空間の創出を目指し,①駐車場に設置するユニット型パークレットの開発,②そのパークレットに導入可能な緑化ユニットの開発,③温熱環境の改善とアメニティの向上を両立するパークレットの運用方法の検討,を目的としている.以下,R4年度(1年目)の研究実績の概要を列記する. 「くまもと 花とみどりの博覧会(2022年4・5月開催)」の参加者として緑の展示状況を視察・調査し,上記の目的③に対応する「都市内に配置する緑と利用者の行動,およびパークレットのあり方」を把握した. 続いて,熊本市における2019年から2021年の熱中症による搬送者データを分析し,発生日時,場所,性別,年齢より時間や年代によって件数は異なるが,場所は市街地に偏るわけではなく,市街地内外どこでも搬送者が発生していること,および80代や70代の搬送者が多く高齢者を対象とした対策が必要であることを把握した.ここから市街地に限らず住宅地など様々な場所で道路近傍に設置可能かつ環境調整が可能なパークレットが求められることを確認した.これは上記の目的②と③に対応する. これらの結果より得られた知見をもとに,従来の緑化ユニット型パークレットのデザインを再検討した.その上で,2022年9月に当初【2年目】に予定していた本研究で提案するパークレットを実際の熊本市京町地区の駐車場に設置する社会実験を実施した.同時に実測調査を通してユニット配置による温熱環境の改善効果も把握した.これは上記の目的①に対応する. 次年度(2023年度)は,その結果も加えて広域での環境改善効果も数値シミュレーションで評価し,熊本市が掲げる「熊本市 緑の基本計画」への提言も行いたい
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,科研費の申請段階では「くまもと 花とみどりの博覧会(2022年4-5月開催)」へのパークレットの出展を予定していた.しかしながら科研費申請後のR3年度12月からR4年度2月にかけて,先方と交渉で調整がうまくいかずパークレットの出展が実現できなかった.幸い,同博覧会に一般参加者として参加することで都市空間における緑の展示状況を視察・調査することができた.加えて熊本市消防局・警防部・救急課・救急管理班の皆様の協力により,熊本市における2019年から2021年の熱中症による搬送者データを閲覧することができた. これらより得られた知見から,都市内に配置する緑と利用者の行動,およびパークレットのあり方,高齢者を対象とした対策の必要性が把握された.同時に道路近傍に限った場合,市街地に限らず住宅地など様々な場所で設置可能なパークレットが求められることが確認された.これらの結果より得られた知見をもとに,従来の緑化ユニット型パークレットのデザインを再検討し,ハーフパレット(従来の既製品の半分の横幅の製品)を使用するコンパクトなデザインを導出することができた.このデザインとなることで,全てのパーツを軽トラックに載せて運搬することができるようになった.そして新しいデザインのパークレットを熊本市京町地区の旧街道沿いの駐車場に設置する社会実験を実施し,新たなユニットによる周辺の温熱環境の改善効果も把握した. このように,研究の進捗自体は当初より予定していたペースで進行している.しかしながら,予定変更に伴う作業・検討時間の増加により,研究結果の報告に時間を割くことが難しく,建築学会・大会など国内学会での研究成果の報告に間に合わせることが難しくなってしまった.また投稿した論文が査読の結果,掲載時期が初年度内にならなかった.この反省を活かし,R5年度(2年目)は研究結果を積極的に発表していきたい.
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今後の研究の推進方策 |
R5年度(2年目)は,熊本市中心市街地の複合ビルであり同市による開発の中心施設の1つである「サクラマチクマモト」を対象地に,その周辺のプロムナード及び辛島公園にパークレットを設置し,広場空間へ設置を想定した新たなデザインや,ユニット構成の改良を行う予定である. また同時に,本研究の責任者(高田)が在籍している研究教育機関(熊本大学)の他の研究者と協力して,荒尾市の荒尾駅前の歩道空間を対象に,実際に開発したユニット型パークレットを配置し,その環境改善効果を確認する社会実験を実施する予定である. 同時に,数値シミュレーション(熱収支解析およびCFD)による改善効果の評価も行いたい. 加えて,【現在までの進捗状況】で記述した通り,研究成果を論文にまとめる予定である.
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