研究課題/領域番号 |
22K04431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尹 奎英 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 教授 (80437079)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | メンブレン除湿機構 / 省エネルギー / 温熱快適性 / 認知能力 / 次世代除湿技術 / ZEB化推進 / メンブレン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究提案はメンブレン(気体分離膜)を用いて等温除湿の空調プロセスを実現する、開発途上の除湿技術開発である。近年のZEB化推進に伴い、省エネルギーと湿度制御性の両立がこれまで以上に重視されており、当該技術は有望な技術の一つといえる。 メンブレンを用いる除湿システムは、構造が単純で再生熱を必要としない点から、将来注目される技術のひとつである。現時点で実現しうるメンブレンの除湿性能を従来空調機器に併用したときのコスト、エネルギー性能、室内温湿度への影響を分析し、併用利用の可能性を明らかにする。また、メンブレンを併用する従来空調機器の試作、実験、社会実装を行うための知見をまとめ、次期研究につなげる。
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研究実績の概要 |
メンブレン導入による省エネルギー量(再熱不要による消費量削減分と過冷却キャンセルによるチラー消費エネルギー削減分)と増エネルギー量(真空ポンプによるエネルギー増加分)を表すバランス式を導き、メンブレン導入により期待できる省エネルギー性能を簡便に評価できる手法を提案した。その成果により、再熱のための熱源機器の効率(例えば、ボイラ効率、電気ヒーター効率)、チラーの運転性能を設定すれば、メンブレン導入により得られる省エネルギー効果量を算定できる。また、真空ポンプにより増えるエネルギー量と比較して省エネルギー効果が期待できる条件を導ける。さらに、異なる2つのメンブレンの導入方法(例えば、冷却コイルの前か後かの導入方法が存在する)に対して、前述の観点から評価できるようにして、冷却コイルのあとにメンブレンを導入する方法のほうがメンブレンを導入する条件が広範でエネルギー性能も高いことを示した。この研究成果は国際会議(Indoor Air Quality Ventilation and Energy Conservation 2023)にて発表した。 メンブレン導入により湿度を現在のシステムに比べてより自由に制御できることから、湿度が与える人体の温冷感、知的生産性への影響を調査した。被験者実験を行い、湿度がもたらす人体への心理、生理反応を調査した。湿度が高い条件下では心拍数が高くなる傾向にあり、その度合いは女性に比べて男性のほうがよい大きいことがわかった。認知能力についても湿度に対する有意な差が得られており、その研究成果を国際ジャーナルに投稿中である。 昨年度制作したメンブレン実験体を改造しメンブレンモジュール数の追加や変更が容易にできるユニットの開発に取り掛かり、改造案をまとめた。 また、メンブレンを採用したシステムの期間運転性能を確かめるために、システムシミュレーションの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の主な取り組み内容は、1)シミュレーションによるメンブレン導入の期間運転性能評価、2)湿度による人体への生理、心理量、認知能力への影響調査を継続、3)メンブレン除湿機構のユニット改造の3点である。 1)については、建物用途、システム種別ごとに条件を設定してメンブレンの導入効果を期間運転性能の視点で評価し取りまとめる。 2)については、昨年度行った条件をベースに28℃下で異なる湿度環境を再現し人体への影響を調査する。 3)については、メンブレン除湿機構を改造しモジュールの数を容易に追加及び変更できるユニットを完成させる。そして、その除湿性能を確かめて、開発したユニットの信頼性を評価する。
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