研究課題/領域番号 |
22K04432
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
安藤 真太朗 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (60610607)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | コミュニティ / ウォーキング / 身体活動 / 住まい / 経済性評価 / 健康寿命 / well-being / 経済分析 |
研究開始時の研究の概要 |
住まい周辺の街路環境と居住者の身体活動は密接に関わると考えられる。身体活動は健康寿命を維持増進する上で不可欠であることから、アクティブライフを創出する住環境は健康寿命延伸への効果も期待もできる。本研究では、介在要因としての身体活動を踏まえながら、健康寿命に影響する近隣環境要素を明確化することで、アクティブな環境創造に資するまちづくり指針とその確認要件を見出すチェックリストを開発していく。
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研究実績の概要 |
本研究では、健康寿命延伸や要介護要因の予防に寄与する近隣環境要素を明確化することで、SDGs達成に資するまちづくり指針を見出すことを目的とする。本年度においては、前年度から継続して、一市区町村を対象に町丁目レベルの近隣環境として、遊歩道や公園内施設に関するインフラ情報を中心として、道幅・三叉路の数やバス停の充実度等に関する道路交通情報や、NPO団体の活動情報に関するデータ化し、更に植生指標NVDIを評価することで歩道の緑化の度合いを定量的に示した。この評価指標とWEBアンケートで収集した町民の健康度および運動習慣について関連をパス解析で検証することによって、運動習慣を促進する街路環境要素を明らかにした。また、一小学校区を対象に、継続的に行っている通行量調査を実施し、更に地域のエキスパートへのヒアリング調査を通じて、コロナ禍以降の外出行動の萎縮の一因が複数人での活動のしづらさにあることが明らかとなった。 上記の検証の一方で、マクロで得られる統計情報を活用した市区町村単位での関連検証を継続して実施し、西日本地域だけでなく、全国の市区町村を対象とした高断熱住宅普及と死亡との関連を傾向スコア分析も交えて示した。更に、一自治体における追跡調査を展開して、健康寿命延伸に資する要因について検証した。これらの成果を基に、良好な住宅の普及の効果を医療費や暖房費、労働損失費用を加味して、シナリオ分析を行うなどして自治体が取り組んだことによる効果を推定している。今年度はこれまでの疾患に加えて睡眠に関する便益評価も行い、疾病予防効果のみでも積極的な冷暖房使用に伴うランニングコストだけでなく、改修等のイニシャルコストまでも回収が見込める可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクティブな環境創造に資するまちづくり指針を示したチェックリストの構築に向けて、本年度は地理統計資料に加えてWEBアンケート調査によって、その町丁目・学校区レベルの情報をGIS上にデータ化することができた。現地調査によって統計資料では明らかにできない、公園施設の充実度や花壇や街路樹、傾斜、三叉路の数、歩道の緑化度等の近隣環境要素についてデータ化した。これらによって、一自治体を対象としたパス解析を展開することができた。また、運動実施の停滞要因を見出すこともできている。また、自治体単位での統計情報と死亡率の関連検証が軌道にのり、健康寿命や要介護と直結する疾病との関連も示されたことから、住環境をミクロとマクロで捉える検証とその体制も整いつつある。医療経済の観点からのアプローチも検討した。研究業績としては国際会議などの報告に加えて、次年度にジャーナル論文への投稿に資する成果が多く集積し、更なる成果が期待できるデータ構築が進んでいることから、“おおむね順調に進展している”とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進は、これまでのデータ分析の領域(地域・対象疾病)を拡大すると共に、データ整理をより進めながら精度を高めることを予定している。特に歩道の定義およびGIS上での精度が十分でなかったため、GIS上で丁寧に歩道の領域をまとめることを計画している。これらによってミクロの街区を対象とした検証を深めていき、地域の運動習慣や健康寿命および国保データベースに基づく疾病単位での検証に発展させていくこととする。同時に、一地域を対象に通行量調査やヒアリング調査も継続的に実施し、ウォーキングに対するバリア解消に向けた検証も続けていく。 また、追跡調査に基づいた疾病要因検証も展開して、要介護要因となり得る高血圧や睡眠や夜間尿等に悪影響を及ぼす要因について検証し、リスト化することも計画している。
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