研究課題/領域番号 |
22K04456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
志賀 勉 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (00206070)
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研究分担者 |
佐土原 洋平 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (40807913)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 都市縮減 / 斜面市街地 / 住宅地管理 / 空家・空地 / 雑草繁茂 / 集積傾向 / 斜面住宅地 / 立地適正化計画 |
研究開始時の研究の概要 |
少子高齢化と人口減少が進む日本において、利便性が低い住宅地では空家・空地の増加と集積によって「空家・空地群」が形成され、住環境の悪化が進む恐れがあります。本研究は、都市部でも利便性が低く空家・空地の増加が進んでいる斜面住宅地を対象として、長期的な空家・空地の実態調査と地域のまちづくり活動の記録をもとに、(1)空家・空地群の形成傾向、(2)空家・空地群の問題に対する所有者や周辺住民、町内会組織などの働きかけや対応の特徴を明らかにし、(3)今後の対策について検討するものです。
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研究実績の概要 |
縮減が進む地域において、利活用が滞った空家・空地の経年集積により生じる「空家・空地群」の増加が顕在化しており、その拡大・荒廃に対する住環境保全の仕組みが求められる。本研究は、居住誘導区域外に位置する斜面住宅地(北九州市八幡東区枝光一区・二区)を対象に、経年的な空家・空地の実態調査および地域のまちづくり活動の記録から、(1)空家・空地群の形成傾向と、(2)群形成過程での所有者や住民、町内会等の対処行動との関連性を明らかにし、(3)空家・空地群の対処方策を検討することを目的とする。 2023年度は、(1)について、枝光一区における経年調査で作成した画地情報GISデータベース(2003~2023年)を用いて空家・空地群の形成過程を捉えた。その結果、枝光一区では、この20年間で群の数は25群から78群に、平均面積は0.054haから0.062haに増加し、特に、道路基盤がぜい弱な中腹・山手エリアで増加が著しいことを明らかにした。 また、(2)について、現況調査から群を構成する空家・空地の管理状態を捉え、また、地区の住環境点検活動の記録から群周辺の問題箇所の推移を捉えた。その結果、前年度に事例把握した、隣接する住宅や道の保全を目的とした群外周部の除草・剪定行為が、大規模な群で多くみられること、また、群の拡大で奥まった空家・空地は問題改善が保留される傾向がみられることを明らかにした。その一方、0.5haに及ぶ大規模な管理不全群が、町内の住民有志の働きかけによって短期間で大きく改善した事例も確認された。 このことから、(3)について、地域レベルでは、今後も居住や利活用が見込めるエリアと空家・空地群が拡大していくエリアを見極めて対処方針を定めること、また、空家・空地群に直面する現場レベルでは、住民等の活動力とニーズに応じた対処手法を選択・運用する仕組みをつくることが重要であることを指摘できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象2地区で予定どおり調査を行うことができ、有意義な知見が得られた。また、研究成果の一部を学会発表し、学術研究論文誌に投稿する準備も進んでおり、本研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き、枝光一区・二区での調査・実践を行い、1) 空家・空地群への所有者や周住民、町内会等の対処行動が群形成(規模、管理状態)に及ぼす影響について考察を深め、2) 縮減地域における空家・空地群の対処方策についてさらなる検討を行う。特に、両地区で実践する住環境点検改善プログラムにおいて、本研究の成果を踏まえた課題設定を行い、空家・空地群の実態と対処に関する参加者の認識と意向を把握し、長期的・実践的な視点から対処方策を検討する。
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