研究課題/領域番号 |
22K04465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
篠部 裕 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 教授 (10196412)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 空き家 / 空き地 / エリアマネジメント / 整備体制 |
研究開始時の研究の概要 |
人口減少社会の中で発生した空き家・空き地問題は、所有者等の個別対応では解決に限界があり、地元住民等による住宅地の再編対策として組織的に取り組む必要がある。一方、各自治体では空家等対策計画や立地適正化計画などが策定されており、これらの計画では空き家・空き地対策や住宅地再編を特定のエリアを設定して重点・優先的に取り組む動向がみられる。本研究では地元住民等によるエリアマネジメントとしての空き家・空き地対策の活動に着目し、各地の活動団体による空き家・空き地の管理・活用の活動とこれに関連する地元自治体の連携や支援実態を調査し、住宅地再編のための空き家・空き地の整備体制のあり方と課題を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は人口減少社会における空き家・空き地対策の方向性を、各自治体が策定した空家等対策計画や立地適正化計画の空き家・空き地対策の枠組みと関係づけながら、エリアマネジメントとして各団体による空き家・空き地対策の活動実態に着目し、空き家・空き地の所有者等と地元住民・自治体が連携した空き家・空き地の合理的な整備手法や総合的な整備体制を検討・提案することを目的としている。令和4年度は先行事例の文献調査やインターネット調査を実施し、エリアマネジメントによる空き家・空き地の整備に取り組む団体・組織の所在とその概要を把握した。 一方、地方自治体の空き家・空き地対策の実態を把握するために、2022年3月末時点で空家等対策計画を策定している1,395市区町村を対象に独自のアンケート調査を実施した。アンケートの設問内容は、①特定の地区・区域への重点的な空き家・空き地対策の有無、②空き家・空き地の情報提供サービスの有無、③老朽危険空き家の解体除却補助施策の有無、④空き家の解体後の跡地や空き地の果樹園・生活菜園としての管理・活用支援策の有無、⑤エリアマネジメントによる空き家・空き地の取り組みの有無、の大きく5項目から成る。アンケート調査は配布・回収とも郵送方式で実施し、2022年9月に1,395市区町村へ配布し、2022年12月までに回収した。回収数は937市区町村、回収率は67.2%であった。エリアマネジメントによる空き家・空き地の整備に取り組む組織は少ないものの、その所在を把握した。 また、中国地方の尾道市や鳥取市におけるエリアマネジメントの視点による空き家・空き地の整備の取り組みをヒアリング調査を行い、基礎資料を収集すると共に活動の大枠を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度には文献調査・インターネット調査によりエリアマネジメントによる空き家・空き地対策の取り組む代表的な団体・組織(自治会、NPO、一般社団法人など)の所在とその活動概要を把握した。空き家等の管理活用に取り組む組織の所在は把握した。一方、全国の空家等対策計画を策定済みの基礎自治体を対象にアンケート調査を実施し、地元住民・事業主・地権者等が主体的に空き家・空き地の管理や活用などに取り組むエリアマネジメントの活動の所在を把握した。各自治体の空き家対策担当課からの回答によると全国で60の活動団体・組織の所在を把握することができた。その取り組みの内容は、空き家・空き地の所有者等と利用希望者のマッチングやコーディネート、空き家・空き地の管理・活用に関する助言・啓発冊子の発行、空き家・空き地のパトロールなどが主な取り組みであった。 以上の文献調査・インターネット調査、全国の各自治体を対象とするアンケート調査の実施と、これらの調査による空き家・空き地対策の取り組みに関する基礎情報・資料の収集は申請時の研究計画で予定していた令和4年度の研究内容であることから、上記の進捗状況の区分については「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の文献調査・インターネット調査・アンケート調査から、今後のエリアマネジメントによる空き家・空き地対策を行う上で参考となる思われる優れた取り組み、先進的な団体・組織を対象に、取り組みの実態をヒアリング調査等を通じて明らかにする予定である。具体的には団体・組織の種類(自治会、NPO、一般社団法人など)、住宅地の種類(戦前からの住宅地、戦後開発された住宅団地、観光地などの住宅地など)、具体的な活動内容(空き家等のパトロール、空き地の清掃管理、空き地の果樹地等の利用、所有者と利用者を結びつけるマッチングの内容、意識啓発活動など)、地元自治体との連携状況(地元自治体の補助施策の利用状況、活動資金の補助、対策講座等の実施状況、広報支援など)などについて調査し、空き家・空き地対策の実態を把握する予定である。 現時点での調査対象団体としては、今泉台自治会・石神台自治会・H学区自治会連合会などの自治会、いんしゅう鹿野まちづくり協議会や尾道空き家プロジェクトなどのNPO法人、Y空き家ネットや伊豆長岡温泉エリアマネジメントなどの一般社団法人をヒアリング調査の対象として、各団体・組織によるエリアマネジメントとしての空き家・空き地の取り組みの実態について、詳細に調査する予定である。また、その活動の取りまとめに関しては、ひと(組織)・こと(活動内容やイベント)・もの(空き家・空き地)・かね(活動資金や補助金)について、総合的・横断的に整理・考察する予定である。
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