研究課題/領域番号 |
22K04481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 京都美術工芸大学 |
研究代表者 |
森重 幸子 京都美術工芸大学, 建築学部, 教授 (70774892)
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研究分担者 |
高田 光雄 京都美術工芸大学, 工芸学部, 教授 (30127097)
山内 貴博 京都美術工芸大学, 工芸学部, 教授 (50713187)
加茂 みどり 追手門学院大学, 地域創造学部, 教授 (50963203)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細街路 / 住環境 / 再生手法 / 所有権 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、京都市内に多数存在する細街路について、都市の住環境における生活空間としてのポジティブな側面に着目し、細街路空間の特徴を生かした「閉じつつ「開く」方法」の検討により、居住空間としての持続性と市街地空間としての安全性を高める手法について、現地調査、アンケート調査、ケーススタディ、およびワークショップを通して具体的に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、歴史的密集市街地における細街路の再生手法について検討を行うものである。これまでに、京都市内で行われた細街路再生の事例収集と、そこでの再生手法の整理を行った。再生手法としては、近年改正された建築基準法の規制誘導手法の活用や、家賃一括払いや定期借家方式の利用、専門家の組織的な関与などの多様な手法の組み合わせが見られる一方で、関係者の合意形成に課題がある。 合意形成の困難さをもたらす所有権の分割状況を知るために、トンネル型細街路の土地所有権の状況、および、袋路の土地所有権の状況についての分析と整理を行った。その結果、明治期以前または大正から昭和初期にかけて、借家として供給された袋路奥の家屋が持家化する際の土地の分割形態として「旗竿」「通路一筆」「分割」「持ち出し」「全体一筆(分割なし)」という5つのタイプが見られるとした上で、タイプごとの傾向についての知見を明らかにしている。「通路一筆」と「分割」は、通路部分の筆が家屋部分と切り離されていることから、相続や売買時に登記がなされない、共有の場合は相続人が多数になることも考えられ、このタイプが比較的多く残っている可能性を見出した。 生活空間としての細街路の実態として、令和4年度は、細街路が多い京都市東山区の一地区を選定し、細街路沿いの居住者を対象とするアンケート調査票を配布し集計を行った。さらに地理的条件が異なる他の一地区を対象としたアンケート調査を実施し、継続して集計と結果の分析を実施している。 具体的な細街路の再生事例のケーススタディとして、以前から経過を参与観察している袋路奥の長屋新築プロジェクトが、令和5年12月に竣工した。建築基準法第43条第2項第2号の特例許可を得て袋路奥に新築した事例で、竣工までのプロセスも含めて整理を行う予定である。今年度はその他に海外都市における細街路と居住空間に関する基礎調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活空間としての細街路に関するアンケート調査票の配布回収と結果の分析、個別の細街路再生事例の関係者に対する調査などの研究を継続的に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、既に配布と単純集計を終えている東山区内の2つの地区での、細街路沿い居住者を対象とした生活空間としての路地の利用と課題に関するアンケート調査の結果の分析を行う。全体的な傾向に関する知見を明らかにするとともに、個々の回答者に着目した詳細な分析も実施する予定である。 また、今年度まで行ってきた具体事例のケーススタディの中で、特に令和5年12月に竣工した袋路奥の長屋新築事例を対象とし、関係者への聞き取り調査をすすめる。関連する細街路再生事例の関係者や、細街路の再生にかかわるまちづくり活動の関係者、関心のある行政関係者らを対象とする研究会等によるワークショップを行い、具体事例における到達点と課題について意見交換を行う。 成果のとりまとめに向けて、細街路再生に関してこれまでに行ってきた多角的な研究による知見を、ハード面とソフト面、および閉じつつ開くという観点から、俯瞰的に整理を行う。知見の整理のため、今年度は複数回の研究会を開催し、議論を重ねて研究成果の発信方法についても検討を行う。
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