研究課題/領域番号 |
22K04495
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
森 朋子 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (00746480)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 国立・国定公園 / 景観計画 / 広域景観 / 文化的景観 / 再生可能エネルギー / 国立公園 / 北海道 |
研究開始時の研究の概要 |
景観法制定から10年以上経過し、「景域マスタープラン」策定が論点の一つに挙げられ、広域景観形成手法として期待されている。一方、北海道では、1999年に10の景域に区分した「北海道景観形成基本計画」が策定されていた。しかし、景観法のもとでは広域景観形成施策は十分進んでおらず、北海道の実態に景観法の一般的な枠組みが合っていないと推察し、計画論的発想転換が必要だと考える。 本研究は、道内国立公園に着目し、国立公園内外地域を一体的に包含する景観マスタープランを策定し、各市町村の景観計画を位置付ける枠組みを設定する一連の計画論的方法を提示することで、北海道の新たな景観施策の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
【国立公園計画】阿寒摩周・釧路湿原・知床国立公園の関連自治体の景観保全施策について、現地調査及び郷土資料等を含めた資料収集を行い調査を進めた。また、日高山脈襟裳国定公園の国立公園化を見据え、重要文化的景観に選定されている平取町の「アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観」区域への公園区域拡大の議論に着目し、自然と文化の関係を踏まえる視点を本研究に追加した。本研究以前からの継続研究成果も含め、昨年度は学術論文として発表した。 ・自然と文化の関係を踏まえたことで、本研究の対象地域が自然と文化から展開する広域景観形成に複数自治体が連携して取り組む先行事例として、根室管内の1市3町(標津町・根室市・別海町・羅臼町)によって日本遺産に認定された、地域の歴史文化のストーリー『「鮭の聖地」の物語~根室海峡一万年の道程~』を位置付け、自治体担当者へのヒアリング調査を行なった。 ・建築学会景観小委員会委員として景観研究に参加し、日高山脈襟裳国定公園を包含するえりも町の風力・太陽光発電施設設置に関わる施策を取り上げ、全国大会の研究懇談会で発表した。今年度は、本委員会で編集している書籍出版に向け、さらなる景観研究を進めていく。
【景観法に関する文献調査】国立公園計画と景観計画の連携課題を調査した。景観法制定の背景に関する行政資料を環境省から入手した。また、景観法制定後の環境省の運用ファイルを閲覧し、公園区域を包含する市町村の景観計画策定に関する事前協議の内容を知ることができた。自然公園法と景観法の連携に関する事例は依然少ない状況ではあるが、引き続き個別事例を踏まえ課題の所在を明確にしていく予定である。また、北海道庁のこれまでの景観施策を把握するために道庁内所蔵資料を閲覧し、「景域」を一部継承した北海道景観計画策定背景を整理し、都市計画学会北海道支部セミナーで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国立公園地域の自治体であっても、景観上国立公園と直接的な関係が得られない場合(例えば、カルデラ湖の外側)には、単なる普通地域の延長として景観施策に反映することが実質的には難しいということが、複数自治体へのヒアリング調査からわかった。一方、北海道における広域景観形成の取り組みは、現在羊蹄山麓広域推進地域にとどまっており、比較事例として本州の取り組みを探して関連自治体への問い合わせを行なっているが、詳細調査まで進んでいない。また、昨年度より自然と文化の関係に着目し、自然と文化から展開して複数自治体が連携して取り組む先行事例として、根室管内の1市3町(標津町・根室市・別海町・羅臼町)の日本遺産の調査を行うなどすることで、国立公園計画と周辺自治体の景観計画の連携を探ってきた。以上より、当初の計画と比較すると、やや遅れている状況と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの調査から、今後は国立公園地域の景観価値(自然)と文化の視点も踏まえ、国立公園計画を展開して策定する景観マスタープランの計画論的方法と関係機関が連携した景観施策実践へ至るロードマップを提示することを目標に、最終年度の研究を進めてゆく予定である。 現在までの進捗について、「やや遅れている」と判断しているが、本研究の対象とする道東の根釧景域内の対象自治体への景観施策に関係するヒアリング調査は終えており、景域内の景観に関わる施策など概要の実態把握はできている。また、昨年度景観計画を策定した鶴居村は、釧路湿原国立公園を包含しており、国立公園の規定へのいわゆる上乗せ基準の設定は景観計画にないことを確認した。一方で、今年度は国立公園計画と景観計画が捉える景観価値を整理し、策定段階での議論等を把握して確認する予定である。 また、環境省のこれまでの景観景観に関係する事前協議の論点整理も継続整理し、国立公園計画と景観計画の課題をまとめる。 本州の府県レベルの広域景観施策を踏まえ、北海道の広域景観施策についても、これまでに整理した内容に加え、これからの景観施策を展望する。
以上より、道東地域における「景域マスタープラン」策定に向けたロードマップ試案を行い、最終的に、道内他の国立公園地域への応用を試み、適応可能な具体的あり方と、「景域マスタープラン」策定に向けた課題として、景域内の国立公園地域以外の市町村、また景域を跨ぐ市町村をどのように位置付ければ良いかなどの考察をしてゆく予定である。
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