研究課題/領域番号 |
22K04500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
宇都 正哲 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (80539809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 都市縮退 / 人口減少 / 住宅 / 資産デフレ / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
ワシントン大学が2021年に発表した研究によると、日本を含む主要23カ国の人口は2100年までに現人口の半分以下に減少することが指摘されている。人口減少による都市問題の研究は多くあるが、住宅資産のデフレが都市縮退に大きな影響を与えるという研究はない。一見すると住宅資産デフレと都市縮退は直接的な関係はないように思われるが、住宅資産デフレが高齢世帯の家計を毀損し、転居制約がかかるため都市縮退スピードを鈍化させる可能性があると考えている。そこで、住宅資産のデフレが高齢者世帯、特に退職後の生活に大きな影響を与える要因となることを日本全体で検証し、住宅資産デフレの影響を具体的に計量化し「見える化」する。
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研究実績の概要 |
本年度は、将来の住宅資産の推計モデル構築とデータ収集をメインに実施した。 対象エリアを東京圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)として、209市町村の地価、人口、世帯、住宅面積等の時系列データを1984年から2018年まで収集した。そのデータ期間中に市町村合併が多くあったため、当該市町村は個別にデータ整合の処理を行った。この市町村合併前後の整合性チェックに当初より時間を多く要したため、次年度も一定の時間が必要となると想像する。また推計モデルは、地価と人口の変化率を説明変数とする回帰モデルを利用することで一定の信頼ある推計が可能であることが確認できた。 このモデルを活用して、住宅資産デフレ額を東京圏において推計した。住宅資産価値のデフレは、2045年には約94兆円になると予測された。デフレの程度は自治体によって異なるが、東京都心部を除くほぼすべての自治体で住宅資産価値のデフレが発生することを明らかにした。また、郊外自治体の多くでは1世帯当たりのデフレ額が1,000万円を超えることも明らかとなった。これらの結果は、郊外世帯にとって住宅資産のデフレは避けられず、それがコンパクトシティ推進の新たな障壁となることを示唆していることを指摘した。 以上の研究活動の成果は、国際論文として”Cities”(Impact Factor 6.08)と当該分野ではハイランクの論文誌に投稿し、採択された。2023年1月にオープンアクセスにて掲載された。既にいくつかの国際論文での引用もあり、今後も引用数が増加することが見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であった推計モデルの構築とデータ収集を着実に行い、その成果を国際論文として発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
東京圏の分析を参考に、当初計画していた大阪圏、名古屋圏について、データ収集と分析を行い、国際論文に投稿を予定している。また、関連する分野の書籍についても刊行を予定している。
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