研究実績の概要 |
前年の東京圏の分析に続き、関西圏と名古屋圏における住宅資産デフレに関する分析を行った。関西圏の研究成果としては、住宅資産と平均所得の関係を見ると、東京では住宅購入に必要な所得は年収の3.82倍であるのに対し、大阪では1.98倍であった。関西圏は東京圏より速いペースで住宅資産デフレが進行しているが、世帯当たりの住宅資産デフレは住宅資産の所得倍率が高い東京圏の方が大きい。したがって、関西圏と東京圏のどちらが住宅資産デフレの影響をより深刻に受けているかというと、関西圏の方が住宅資産デフレの減少率は高いものの、絶対額は東京圏の方が大きく、これらは性質の異なる問題であるというのが我々の結論である。今年度の研究成果は、住宅資産デフレが2つの大都市圏に住む住民に深刻な問題を与えていることは確かであるが、性質は異なるものであることを明らかにした点である。都市規模による住宅資産デフレの影響の「質」が相違したことから、より多様な都市規模の住宅資産デフレの研究を続ける価値があると考えられる。 これらの成果は、"How Are Tier 2 Metropolises Affected by Housing Asset Value Deflation in the Depopulation Era? A Comparison between the Tokyo and Kansai Metropolitan Areas", Land, 13(4), 418, 2024, pp.1-20. (Impact Factor 4.0)と「住宅資産デフレがコンパトシティ推進の新たな障壁となる可能性」, 住宅土地経済, No.132, 2024 spring, 日本住宅総合センター, pp.10-19.の2つの論文にまとめて発表した。
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