研究開始時の研究の概要 |
既存住宅は新築時性能差に加え維持管理による差があるため,流通市場では実地調査し,品質,性能を検査するインスペクション(ISP)のニーズが高まっている。しかし,現状のISP技術基準は検査者により検査の結果が異なるため(検査ゆらぎ),工学的見地から検討が必要である。 検査ゆらぎの要因として3つのバイアスを仮定し,現行の検査基準(目視等)と新しい検査方法(サーモカメラ等)の検査実験により,バイアスの及ぼす影響を共分散構造モデルにて分析する。データを活用し制御法を開発し,実証実験によりゆらぎ制御効果(10%未満)を確認することで,ISP技術基準改訂に係る基礎的資料となり ,既存住宅流通の活性に寄与する。
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研究実績の概要 |
既存住宅は新築時の性能の違いに加えて維持管理により差が生じるため,流通市場では既存住宅を実際に検査し,品質,性能を明らかにするインスペクションへのニーズが高まっている.通常,1つの住宅を1人の検査者が検査するが,研究代表者は複数の検査者に同一の検査対象箇所(床,壁等)を同一の検査方法(目視,打診等)で検査させた場合に,検査者により検査の結果が異なる事例(検査ゆらぎ)があることを把握しており,こうした検査ゆらぎは国民のインスペクションへの信頼性を大きく低下させるため,インスペクション技術基準に対して工学的見地から検討が必要である.特に本研究では,既存住宅状況調査等に用いられ,社会的なニーズの大きい一次的なインスペクションに着目し研究を進める. インスペクションにおける検査ゆらぎの要因として1検査機器の使用方法の正誤,2検査対象箇所の検査可能範囲の多寡,3検査者自身のバイアスを仮定し,学外の検査者を対象に,A)現行の検査基準とB)新しい検査方法の検査実験を行う. 本年度は,昨年度の予備実験の結果を活用し,学内に専用の実験装置(3種類の床の勾配計測が可能)を設置し,9名の被験者による4つの調査道具(1mの水平器,水平レーザーとメジャー,水平レーザーとI型金尺,水平レーザーとL型金尺)別に計測を行わせ,そのゆらぎに関わるデータを取得した.データの取得は実数値の他,被験者に脳波計(Unicorn Hybrid Black)を装着し脳波データを取得した.また,調査実施前後の感情面に関する自己診断データ(SD法)により,現在これらの相関について分析をしている.
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