研究課題/領域番号 |
22K04505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池上 重康 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30232169)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 札幌オリンピック冬季大会 / 真駒内スピードスケート競技場 / 大倉山ジャンプ競技場 / プレスセンター / 前川國男建築事務所 / 坂倉準三建築研究所 / 黒川紀章建築都市設計事務所 / 北海道大学スポーツトレーニングセンター / 札幌 / オリンピック / 競技施設 / SDGs / 近現代建築 |
研究開始時の研究の概要 |
1972年札幌冬季オリンピックに合わせて建設された競技関連施設全般について、①招致案から実施案への変更過程、②実施案の設計・施工者決定の経緯と最終案までの設計過程、③大会終了後から現在に至るまでの施設の改修ならびに管理運営について、オリンピック委員会、国、北海道、札幌市ならびに、各施設、設計者所蔵の公文書・建築資料から読み解き、各施設の歴史的、文化的価値を評価した上で、そのサスティナビリティを提示する。
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研究実績の概要 |
前年度に資料収集をした真駒内屋外競技場と大倉山ジャンプ場について、論文にまとめるために、国立公文書館のオリンピック関連公文書の大判の図面類の外部委託による複写申請、袋とじ部分の開封と複写申請を行った。 また、サスティナブルな歴史的価値を位置づけるために、文化庁主催の有形・無形の世界遺産に関するシンポジウム、代々木屋内競技場を世界遺産にするための国際シンポジウムに参加し、多用な価値基準を学習するとともに、パネラーとの討議により、文化座施策に対する最新の情報を得た。 丹下健三を始めとする日本国内のオリンピック競技場(前霞ヶ丘国立競技場、駒沢競技場、代々木屋内競技場第一・第二体育館)に関する先進的な研究を推進している千葉大学准教授豊川博士へヒアリングを行い、戦略的な文化的価値の付加について討議し、「リビングヘリテージ」という概念の創出と啓蒙について示唆を得た。 本年度、メインに資料収集とヒアリングを進める予定であった真駒内柏丘にある黒川紀章設計によるプレスセンターについて、黒川事務所に設計図書が保存されていないことが判明し、文献からの考察以外にほぼ方法がなくなってしまったことがマイナス査定である。一方で2030年ならびに2034年の札幌市におけるオリンピックの誘致が失敗し、凍結してしまったことにより、早急な施設の更新が見込まれなくなったことは、オリンピックレガシーの継承にとってはプラスに働いていると判断したいが、日本国民の全体主義的なキャンセル文化によるオリンピックや万国博覧会などの国際行事への拒否感は、文化の熟成にとってはマイナスと捉えざるを得ない。 現在、同時代の前川、坂倉、黒川の作品について資料収集と考察を深めつつ、同時代の建築家の作品を比較するために、各種文献を網羅的に入手し、論文としてまとめるべく準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
黒川紀章建築都市設計事務所が2014年に会社更生法を適用したことにより、プレスセンターの設計図書が散逸してしまったことを今回初めて知った。2013年に建築資料調査を行った際には、同センターと黒川事務所との関係が良好であっただけに非常に悔やまれる。 事務所としても旧所員との縁が切れてしまったようで、今年度新規に人脈を見つけ出さなくてはいけなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年にオリンピックが開催されるパリ市において、100年前に建設されたサン・ドニ競技場のサスティナブルな利活用について、現地においてシンポジウムに参加し、担当者にヒアリングを行い、体育競技レガシー施設のSDGsに則った世界的な最新情報を入手する。 ①札幌オリンピックの招致から、主要施設の設計者決定に至るまで、②前川國男設計真駒内屋外競技場の設計過程、③坂倉準三設計の大倉山ジャンプ競技場の設計過程の3つについて論文をまとめる。 プレスセンターを含めた他競技会場の建築資料の現況について整理する。
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