研究課題/領域番号 |
22K04509
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
千代 章一郎 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (30303853)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 標準 / 土着 / ル・コルビュジエ / シャルロット・ペリアン / 近代建築史 / 量産 / 解剖学 |
研究開始時の研究の概要 |
近代建築における「標準」は、寸法、部材、機械生産方式の規格化と国際様式の画一化をもたらしたとされ、近代建築史の定説となっている。しかし一方において、20世紀の建築家たちは手仕事による土着の技術も「標準」として参照していた。つまり「標準」は建築史に通底する問題であり、近代建築史として再編された概念ではないのではないか。 本研究は、「標準」をいち早く主題化したフランス近代建築家ル・コルビュジエとシャルロット・ペリアン、そしてジャン・プルーヴェを中心に、「標準」の理論を土地に醸成される「土着」技術についての省察から導き出し、「標準」の実践である「量産」構想との交叉を明らかにする建築解剖学である。
|
研究実績の概要 |
本研究では、「標準」を単なる「規格化」としてではなく、建築制作原理としての「ディストリブティオ」という本義に遡り、その原義が、どのような理由で、どのような方法によって、変容してきたのかを明らかにすることを大きな目標としている。そのために、主にフランス近代住宅の理論と実践を対象とし、「標準」 を歴史的に遡行するために、土着的なものに対する建築家の省察と、「量産」を用いた実践との交叉の容態を明らかにする。本年度は、まず、「標準」に関連するケーススタディとしてカプ=マルタンに構想されたル・コルビュジエのヴァカンス集合住宅構想(実現せず)を取り上げ、標準化された寸法を用いた架構が、土着の気候へ適応させる方法と分析した。都市型集合住宅とは異なって、ル・コルビュジエの理想の住まいの形式が、さまざまな変容過程を経て形成されていくことを明らかにした。一方、・コルビュジエの共同者シャルロット・ペリアンについては主に理論的な言説について分析を進め、「フォルム・リーブル」や「フォルム・ユテール」という独自の形態概念に焦点を当てることによって、これらの概念がペリアンの独自の民家調査(とりわけ、南東フランスの諸集落、 スペインのイビザ島、日本各地の民家)と矛盾各統合されていることが明らかになった。もちろんル・コルビュジエのど釈的な民家に一貫して関心を示してきたが、ル・コルビュジエとペリアンでは「土着」への眼差しは異なっている。例えば、ル・コルビュジエは西洋諸国の民家に関心を持ち続ける一方、日本の民家については表書いていない。このような差異が何に根ざしているのか、またその差異がどのような建築的実践の違いに結びついているのか。その比較研究は今後の課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウクライナ戦争を受けたヨーロッパ旅行費の高騰を受け、すでに予定していた調査期間を確保できず、調査計画を再考する必要があったため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きル・コルビュジエとシャルロット・ペリアンを事例とした研究分析を進める一方、両者と協働した技術者ジャン・プルーヴェについて研究成果をまとめる。
|