研究課題/領域番号 |
22K04512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
初田 香成 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (70545780)
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研究分担者 |
岩本 馨 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00432419)
石榑 督和 関西学院大学, 建築学部, 准教授 (10756810)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ガーブ川水上店舗 / 牧志公設市場 / 中島廉売 / 立ち売り / 軒下営業 / 露店 / 市場 / バラック / 物質性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、民間主体により①ブリコラージュ的に構築され、②一度建設されると即物的に存続してきた仮設建築を都市の一種の根源的現象として位置づけ、第二次大戦後の闇市を中心にそれ以外も視野に入れ全国の事例を発掘する。そして素材・構法・増改築など建築の物質的側面と、建設主体・行政など社会的背景からその多様なあり方を示す。研究はⅠ東アジアを含めた全国の闇市由来建築の発掘と実測、Ⅱ全国の公文書館等での闇市・露店・市場についての写真を含む資料収集、Ⅲ空間の物質性に関する理論的探求と仮設建築の動向把握のための研究会開催からなる。仮設建築という広い視点から都市ごとの長いスパンで闇市を捉え直そうとするものである。
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研究実績の概要 |
本年度は研究の初年度として、①研究会の開催、②那覇市の牧志公設市場およびガーブ川水上店舗の史料収集と調査・研究、③函館市の中島廉売商店街の実測調査と史料収集を行った。 ①の研究会では本研究課題の進め方や、②の調査内容や各自の研究の進捗状況について発表し、議論を行った。②については既に前年度に行っていた実測調査の結果をまとめるとともに、国立国会図書館、沖縄県立図書館、沖縄県公文書館などで史料を収集した。実測調査は本研究課題に先立ち行っていたものだが、研究を構想する過程で行われたもので、密接に関連するものである。③については11月中旬に函館市の中島廉売商店街について実測調査と史料調査を行った。 成果として、既に投稿していた闇市に関する総論的な論文がアメリカ都市史学誌に掲載された(査読付き、https://doi.org/10.1177/00961442221078912)。また②の成果として日本建築学会計画系論文集に二本の査読論文を投稿した(採用決定済み)。このほか同学会都市史小委員会シンポジウム「物質性が示す都市のかたちとイメージ」において「仮設建築の物質性 那覇市牧志公設市場界隈とガーブ川水上店舗の形成」と題した発表を行った(2月18日)。 以上では、仮設的な建築の多様なあり方を確認したうえで、それらが地形や行政に規定される一方で、逆に物質性を介して地形や行政の前提を書き直し、追認させていくような両者の相互的な関係を見出した。那覇市の事例では女性中心・小規模性といった戦前以来の特徴が、戦後に別の場所で発生した闇市や商店街にも見出せ、戦前からの長いスパンで捉え直す必要を示していた。また函館市の事例では函館大火後に新たな商店街が発生しており、同様の例が他都市でも見出せることから、災害が商店街誕生の一種普遍的な契機になっていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンラインで研究会を開催し、本課題に先立ち行っていた調査の成果をまとめるとともに、函館市の中島廉売商店街において実測調査を行うなど、計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は引き続き各地の闇市由来建築の実測調査を行うとともに、戦前からの仮設建築のあり方を営業主体などの内在的な観点から解明していきたい。
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