研究課題/領域番号 |
22K04513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小沢 朝江 東海大学, 建築都市学部, 教授 (70212587)
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研究分担者 |
長田 城治 郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (70734458)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 府県連合共進会 / 建築材料 / 近代化 / 近代和風建築 / 大林区署 / 林業品 / 公告機能 / 帝室林野管理局 / 地方産材 |
研究開始時の研究の概要 |
共進会は、明治10年代から府県連合により地方都市で開催された。先端品・高級品の展示・観覧を主とする内国博覧会と異なり、参加者間の競争や褒賞、出品物の販売を主眼とし、審査・評価による品質向上と、展示を通した製品の技術・情報の伝播、市場の形成・拡大を担った。本研究は、明治中期から大正期に開催された府県連合共進会を対象に、1)展示品による新技術・新材料の普及促進、2)展示方法による技術・材料の用法の具現化、3)展示施設による新様式・意匠の流行発信の3点から実像を総合的に検討し、新技術・新材料・新様式の普及促進における公告機能を検証することで、地方の建築の進化に果たした役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
(1)府県連合共進会の1次史料を収集・分析した。木材については第12回一府十県府県連合共進会 (1908)から8回で審査が実施されたことを前年度に明らかにしたが、他の建築用材について検討した。第11回関東府県(1906)では煉瓦・瓦は陶磁器、石材は鉱産品の一部で扱われたが、当初は出品が極めて少なく、第6回奥羽六県(1908)での耐火煉瓦の特設館設置を契機に、第10回関西府県(1910)から本格化した。私設展示では、第6回奥羽六県(1908)で唐木・丸太も扱う東京の材木商植村佐兵衛が陳列館を設置、第13回九州沖縄(1910)では炭鉱主の中野徳次郎が木材・煉瓦・鉄骨を併用した家屋を出品した。 (2)共進会の開催地域での影響を福島県・長野県で検討した。吉田誠次郎家住宅(三春市)は明治28年(1895)創建、明治42年までに別棟の紫雲閣を増築・改造した。後者は唐木を主とする銘木の多用と、柱・鴨居・天井等に多種の漆塗を施す点が特徴で、2階床廻りの龍の彫物は「博覧会」で買い付けたと伝わる。明治41年には第6回奥羽六県連合共進会が福島市で開催、先述のとおり東京の材木商小島屋の陳列館が作られたほか、漆器部門に東北6県から春慶塗・根来塗・津軽塗・卵殻塗・竹塗等の出品があり、吉田誠次郎の属する生糸結社・三盛社も共進会に参加していたことから、共進会で材料や職人を集めた可能性が指摘できる。 一方、料亭信濃(諏訪市)は小池熊右衛門が大正初年に建設したとされ、多種の竹材と、白樺・山梨・山葡萄・花梨・紅葉など国産材を多用する。明治41年に第12回一府十県連合共進会が長野市で開催され、長野県が林業部門で天然木を中心に出品、かつ信濃山林会が別館を設けていて、地場産材が多数展示されていた。小池熊右衛門は元片倉製糸の世話役で、先述の吉田誠次郎と同様、共進会の主要審査品の生糸関係業者である点が注目される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度からCOVID-19の影響も収まって、事例の現地調査を福島県・長野県等で実施した。 史料収集・分析も順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き史料収集・分析を進めると共に、石材、煉瓦・瓦、家具の出品内容を精査して、明治後期の生産状況を把握する。 また、林産材も合わせ、明治末から昭和初期における地方の林産材の流通状況の変容を統計資料等から分析する。
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