研究課題/領域番号 |
22K04516
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
李 陽浩 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 研究副主幹 (10344384)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ゴヒラ / ゴヒラ使い / 角柱 / 横架材 / ゴヒラ材 / 建築技法 / 建築構造 / 台輪 / 古代建築 / 建築構法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、先史~古代建築に用いられたゴヒラ使い(長方形断面の材を扁平に使う手法)の事例を古代建築、考古遺物、出土部材、絵画資料などから広く収集し、その使用方法や部材的特徴を明らかにするとともに、その消長を通じて、この間における古代建築の構法的な変化を実証的に解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、先史~古代建築に用いられたゴヒラ使い(長方形断面の材を扁平に使う手法)の事例を古代建築、考古遺物、出土部材、絵画資料などから広く収集し、その使用方法や部材的特徴を明らかにするとともに、その消長を通じて、この間における古代建築の構法的な変化を実証的に解明することを目的とする。 2年度目にあたる本年度も、昨年度同様に(1)現存建築、考古遺物、出土部材、絵画資料などにみられるゴヒラ使いの事例収集、(2)ゴヒラ使いの部材的・構造的特徴とそれが用いられた時期の検討、の2点を中心に行った。 (1)では、主に先史~古代日本で用いられたゴヒラ柱材の事例を広く収集するとともに、発掘調査報告書を通じて、東アジアの事例についても継続して収集を行った。なお、ゴヒラ柱は先史時代のアジア・ヨーロッパにもいくつか類例が存在する(ギョベクリ・テペ、ストーンヘンジ、メンガ支石墓、モンゴルの鹿石など、すべて石製)。従来、これらはゴヒラ柱という観点から論じられることが少なかったが、東アジアの木製ゴヒラ柱との比較を含め、今後検討すべき課題といえる。次に、日本における悉皆調査の一環として、不動院(広島県)、穴太遺跡・日吉大社(滋賀県)や関連する博物館などを現地踏査・調査した。特に今年度の穴太遺跡の発掘調査ではゴヒラ角柱からなる掘立柱建物(5~6世紀)が検出されており、出土状況や部材の特徴などを実見することができた。 (2)では、横架材の特徴を探るために、春日造や流造などの神社建築にみられる土台に注目し、事例を収集中である。禅宗様建築の台輪と同様、神社建築の土台は後の時代に引き継がれるゴヒラ使いの一例と考えられる。このような例からゴヒラ使いの系譜と変化の痕跡を追うことは、ゴヒラ使いの時代的消長を明らかにするうえで重要と思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゴヒラ材やゴヒラ使いの事例確認のための悉皆調査(現存建築、報告書、その他)が多岐にわたるため、作業がやや遅れており、新型コロナウィルス感染症予防対策は緩和されたものの、東アジアの建築遺構に対する実見・踏査のための準備が見通せず、現地に赴いての実見・踏査が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初来の方法を引き続き継続することで、日本および東アジアにおけるゴヒラ材及びゴヒラ使いの事例を集成し、それらを使用箇所や部材断面の観点から考察することで、そこにみられる特徴について明らかにしたい。また、同時に時期的な消長の観点から、ゴヒラ使いの歴史的役割についても一定の展望を得ることにしたい。
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