研究課題/領域番号 |
22K04529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
上野 和之 岩手大学, 理工学部, 教授 (20250839)
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研究分担者 |
竹田 裕貴 岩手大学, 理工学部, 助教 (70911634)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 自由運動型動的風洞試験 / 磁力支持風洞 / モーメント傾斜 / 揚力傾斜 / 風洞 / 磁力支持 / 空力微係数 / 動的安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
独自に考案・開発した装置で、磁気力を使って風洞模型を浮上させます。この装置の特徴は、風洞模型が気流の影響を受けてゆらゆらと揺れる設計になっていることです。この「空気力を反映した動的風洞試験」は世界でも前例のみつからない挑戦的な試みです。 研究対象は「はやぶさカプセル」に似た大気圏突入カプセル模型です。この模型の動きをモーションキャプチャという手法で観察し、空気力学的な特徴を調査し、実機設計に貢献します。また、煙を使った方法で流れを可視化して、乱流渦と運動する風洞模型との間の作用・反作用について理解を深めます。さらに、3次元流れの数値シミュレーションで実験結果の考察を支援します。
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研究実績の概要 |
独自に考案・開発した装置で、磁気力を使って風洞模型を浮上させ、風洞試験を行いました。この装置の特徴は、風洞模型が気流の影響を受けてゆらゆらと揺れる設計になっていることです。この「空気力を反映した自由運動型風洞試験」は世界でも成功した前例のみつからない挑戦的な試みです。 研究対象は「はやぶさカプセル」に似た大気圏突入カプセル模型です。この模型の動きをモーションキャプチャという手法で観察し、空気力学的な特徴を調査しました。 これまでの研究により、大気圏突入カプセルの空気力学特性(モーメント傾斜、揚力傾斜)を高い信頼性で取得できることを実証しました。その研究成果をまとめた論文を国際学術雑誌に投稿しました。現在査読を受けているところです。 実際の大気圏突入カプセルの飛行により近い実験を風洞内で実現するために、風洞ノズル、磁力支持装置、および計測システムを改良しました。そして、改良した風洞と磁力支持装置を使って、予備的な自由運動型風洞試験を実施しました。今後の本格的風洞試験で定量的に信頼性が高いデータ取得をするために、詳細調整を進めています。装置の調整が完了した後には、これまでよりも気流速度を上げた実験が可能になります。それによって磁気力由来の共振現象を抑制して、実際の大気圏突入カプセルの飛行に近い実験を実現することを狙っています。 模型を強制運動させた場合の数値シミュレーションと、空気力を反映した模型自由運動と流れの連成シミュレーションを実施してカプセルまわり流れに関する理解を深めました。強制運動シミュレーションでは合理的な結果が得られました。いっぽう、自由運動模型と流れの連成シミュレーションでは模型の運動振幅が風洞試験よりも小さい結果にとどまっています。2024年度に原因を解明して、問題点解決の後に追加計算を行い、実現象の再現を目指します。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現有の100mm角縦型風洞を使った自由運動型動的風洞試験のモーションキャプチャ結果から、モーメント傾斜と揚力傾斜を同定する手法を確立ました。その研究成果をまとめて論文を国際学術雑誌に投稿しました。現在査読を受けているところです。 動安定特性をより詳細に調べるために 240×80mm の新規風洞と自由運動型磁力支持装置を開発しました。位置検出にシャドーグラフ法(物体シルエット)を使うことにより、模型の大ストローク並進運動があっても運動面と垂直方向の変位を正確に補足することに成功しました。この装置を使って、スモークワイヤー法で流れを可視化して、乱流渦と運動する風洞模型との間の作用・ 反作用について理解を深めました。 開発した新規風洞に適した新しい開放型磁気回路と制御用コイルを製作しました。そして、改良した風洞と磁力支持装置を使って、予備的な自由運動型低速風洞試験(回転運動と並進運動の卓越周波数が不一致)を実施しました。今後の本格的風洞試験で定量的に信頼性が高いデータ取得をするために、詳細調整を進めています。装置の調整が完了した後には、これまでよりも気流速度を上げた実験が可能になります。 2023年度中に風洞の気流速度を上げて自由運動型高速風洞試験(回転運動と並進運動の卓越周波数が同期)に着手する計画でしたが、未達成です。2024年度の上半期に実施したいと思います。 模型を強制運動させた場合の数値シミュレーションと、空気力を反映した模型自由運動と流れの連成シミュレーションを実施してカプセルまわり流れに関する理解を深めました。強制運動シミュレーションでは合理的な結果が得られました。いっぽう、自由運動模型と流れの連成シミュレーションでは模型の運動振幅が風洞試験よりも小さい結果にとどまっています。2024年度に原因を解明して、問題点解決の後に追加計算を行う予定です。
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今後の研究の推進方策 |
改良した風洞と磁力支持装置を使って、自由運動型風洞試験を実施します。2024年度上半期は低い風速でモーメント傾斜、揚力傾斜、および抗力のデータを取得する計画です。 2024年度下半期は風速をあげて実機飛行に近い条件(回転運動と並進運動の卓越周波数が同期)で風洞試験に挑戦します。それが達成できたなら、動的不安定現象について詳しく調べることが可能になります。空力微係数で整理できるような線形的な挙動だけではなく、3倍高調波、5倍高調波などと関連する非線形挙動に着目して実験データを詳細に検討します。 数値解析では模型の自由運動と流れの連成解析の問題点を解明して実現象の再現を目指します。現在使っている非圧縮性コードで良い結果が得られる保証はないので、併行して圧縮性コードを使った亜音速連成解析も実施します。 本研究申請時点では、縦型風洞に揚力均衡コイルを増設して、揚力飛行型カプセル模型の自由運動型風洞試験の技術開発進める計画でした。最近の検討結果を踏まえ、揚力飛行型カプセル模型の自由運動型風洞試験の技術開発は横型風洞で行うことに計画を変更します。そのための磁力支持装置開発、製作を進めます。また、それを使って風洞試験を実施し、計測技術の開発します。 研究成果をまとめて次の論文を投稿する計画です.
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