研究課題/領域番号 |
22K04531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
嶋村 耕平 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (90736183)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 空力加熱 / 深宇宙探査 / 極超音速流れ / 膨張波管 |
研究開始時の研究の概要 |
気流密度と宇宙機の代表長さから決まるバイナリースケール則では、主に衝撃波層内の酸素分子の解離反応をフライトと風洞実験で合わせることが肝心である。このバイナリースケール則は地球周回軌道からの再突入に適用されるものである。一方で、惑星探査からの帰還のような10km/sを超える気流では輻射加熱が支配的になる。つまり、既存の相似則が適用可能かは検証の余地がある。本研究では、10km/sを超える気流を生成可能な膨張波管を使った実験で宇宙機模型周りの空力加熱(対流・輻射)を求め、相似則について検証する。
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研究実績の概要 |
現在までの進捗として、1/10スケールのはやぶさ再突入カプセルを使用して表面および背面の空力加熱計測を行った。表面の空力加熱はE型同軸熱電対と高速応答増幅器を用いて、秒速6-10km/sの範囲内で再現性高く計測することができた。一方、背面の空力加熱は表面の1/100程度と予想され、実験でも熱電対の計測下限を下回り計測が困難であった。このため、背面については新たなセンサの開発と導入を進めた。高速応答でかつ熱電対に比べて2桁程度小さい熱流束を測定できるALTPセンサーを導入し、模型サイズを1/5に拡大し直径72mmとした。また、オフセット模型を用いて背面の空力加熱の厳しいポイントを計測した結果、表面が数10MW/m^2に対して背面はその1/1000程度の空力加熱を計測することができた。この結果をポストCFDの解析結果と比較し、オーダーとして一致していることを確認したが、若干の差異については今後の検証が必要である。 今後の研究推進方策としては、まず背面空力加熱の実験とCFD解析における差異の詳細な検証を進める。実験データと数値解析結果の比較を継続し、特に背面の空力加熱に関する差異の原因を明確にするための追加実験と解析を行う。また、スティング形状を変化させることで後ろ流れへの影響を調査し、背面の空力特性や流れの再現性を評価する。さらに、カプセル形状を変えることで流れ場への影響を調査し、最適な形状を特定する。CFD解析側としては、自由流のパラメータを他の研究者と協力して精度を向上させることに注力する。特に、化学種の比率や酸素分子の解離度が空力加熱に与える影響について詳細な検討を進め、CFDモデルの物理的な再現性を高める。以上の方策を通じて、背面空力加熱の特性解明や流れ場への形状影響の評価、CFD解析の精度向上を図ることで、輻射を含めた加熱における影響を検証したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗として、1/10スケールのはやぶさ再突入カプセルを使用して表面および裏面の空力加熱計測を行った。表面の空力加熱はE型同軸熱電対と高速応答増幅器を用いて、秒速6-10km/sの範囲内で再現性高く計測することができた。一方、背面の空力加熱は表面の1/100程度と予想され、実験でも熱電対の計測下限を下回り計測が困難であった。このため、背面については新たなセンサの開発と導入を進めた。 高速応答でかつ熱電対に比べて2桁程度小さい熱流束を測定できるALTPセンサーを導入した。これにより、背面の詳細な空力加熱の測定が可能となった。模型サイズは1/5に拡大され、直径72mmとした。また、オフセット模型を用いて背面の空力加熱の厳しいポイントを計測した。この結果、表面が数10MW/m^2に対して背面はその1/1000程度の空力加熱を計測することができた。この結果をポストCFDの解析結果と比較したところ、オーダーとしては一致していることが確認されたが、若干の差異については今後の検証が必要である。 これまでの実験と解析により、表面と背面の空力加熱の特性を詳細に把握することができた。表面の空力加熱については、熱電対を用いた従来の方法で高い再現性を持って測定できたことが大きな成果である。一方で、背面の空力加熱については、新たなセンサー技術の導入により、従来の熱電対では測定困難であった微小な熱流束の測定が可能となった。これにより、背面の空力加熱特性の理解が深まり、今後の改良と実機設計への反映に向けた重要なデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、背面空力加熱の実験とCFD解析における差異について詳細な検証を進める。実験データと数値解析結果の比較を継続し、特に背面の空力加熱に関する差異の原因を明確にするための追加実験と解析を行う。これにより、CFDモデルの精度を向上させ、実験結果との整合性を高めることが目標である。 次に、スティング形状を変化させることで、後ろ流れへの影響を調査する。スティング形状の変更により、背面の空力特性や流れの再現性がどのように変化するかを評価し、最適なスティング形状を特定する。この調査により、実験環境と実機環境の一致度を高めることが期待される。 さらに、カプセル形状を変えることで、流れ場への影響を調査する。カプセルの形状変更が空力特性に与える影響を詳細に解析し、最適な形状を導き出すことを目指す。この調査は、実機の設計段階での形状最適化に役立つと考えられる。 CFD解析側としては、自由流のパラメータを他の研究者と協力して精度を向上させることに注力する。特に、化学種の比率や酸素分子の解離度が空力加熱に与える影響について、詳細な検討を進める予定である。これにより、CFDモデルの物理的な再現性を高め、実験データとの整合性を向上させることが期待される。
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