研究課題/領域番号 |
22K04537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
木村 真一 東京理科大学, 創域理工学部電気電子情報工学科, 教授 (00358920)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | フォーメーションフライト / 超小型衛星 / 民生用固定長焦点レンズ / 放射線試験 / 熱真空光学評価試験システム / 自律的対象追尾機能 / 撮像範囲制限による高頻度計測機能 / 宇宙用超小型カメラ / 高頻度対象衛星識別画像処理 / FPGA / 宇宙環境適合性評価 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、民生用小型長焦点レンズと、提案者がこれまで開発してきた高度な画像処理能力を有する、超小型宇宙機搭載カメラと組み合わせることによって、100mで10mm以下の高精度の自律追尾機能を、500g以下という圧倒的に超小型なカメラシステムで実現することを目指す。民生用固定長焦点レンズの宇宙環境適合性評価を行うことで高分解能の相対位置計測を実現するとともに、対象衛星の運動に応じて、自在に撮像範囲を調整することで、高精度且つ高頻度の計測と、ミッションの状況監視を両立する自律画像計測技術を確立する。この技術を元に超小型な追尾カメラシステムの軌道上実証モデルの開発までを3カ年で実現する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、当初計画通り、2022年度に開発した、超小型追尾カメラシステムを用いて、自律的対象追尾機能、及び、撮像範囲制限による高頻度計測機能に関するソフトウエアの開発及び実装を実現し、その性能について評価を行った。 まず、超小型追尾カメラシステムに搭載したFPGAを活用し、イメージセンサーからの取り込み過程において、平行してターゲット衛星の輝点の座標位置を抽出するロジックを導入し、対象衛星の画像座標内での位置を計測し、その情報を用いて、イメージセンサのレジスタ設定を自動的に変更することで、ターゲット位置周辺の画像を自律的に取り込むことに成功した。このイメージセンサのROI範囲を状況に応じて、CPU処理により制御することで、ターゲット衛星の相対位置に応じた高頻度での画像取り込みを実現し、また、ターゲット衛星を見失った時には広範囲での探索モードに自律的に遷移することで、見失いリスクにも柔軟に対応出来る相対位置計測を実現した。 開発した超小型追尾カメラシステムについて、まず、15m以上の撮像距離を確保し、ターゲット位置の計測精度に関する性能評価を実施し、不確かさ1mm以下での計測が実現できることが確認できた。実際のフォーメーションフライトにおける距離50mに換算すると、制御系からの要求1cmを大きく下回る、不確かさ4mm以下の計測が実現できており、十分な精度を実現できていることが確認できた。 さらに、撮像頻度の自律適応性能について、機能試験を実施し、計測精度を落とすこと無く、状況に応じて撮像時間を最短で120msecに圧縮することが可能になった。画像処理時間の圧縮も同時に実現することが出来、計測時間として、要求である1秒を大きく下回る、600msec程度を達成し、十分安定して1Hzの計測を実現できることが確認できた。 以上の結果を学会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を実現する上で、非常に重要な要素の一つである、自律的対象追尾機能、及び、撮像範囲制限による高頻度計測機能に関するソフトウエアの開発を達成し、要求条件を超えるパフォーマンスを実現出来た。さらに、ターゲット衛星を見失った時には広範囲での探索モードに自律的に遷移することで、見失いリスクにも柔軟に対応出来る相対位置計測を実現した。2022年度に実施した、民生用固定長焦点レンズについて、熱真空環境や放射線環境といった、軌道上での環境適合性についての評価といった、ハードウエア開発と合わせると、500g以下という圧倒的な超小型追尾カメラシステムを実現する上で、主要な技術的な課題については解決することが出来た。超小型カメラによる自律的対象追尾機能の実現は、フォメーションフライトだけで無く、広く軌道上サービス全般に対してインパクトを与える成果であるということが出来る。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに、計画通りハードウエア的な成立性の確認と、システム設計、自律的対象追尾機能、及び、撮像範囲制限による高頻度計測機能に関するソフトウエアの開発を達成することができたので、2024年度は、フライトモデル開発と総合性能評価を実現することで、軌道上での技術実証へ向けてシステムを完成させる計画である。計画通り、これまで開発してきたカメラモデルの搭載システム化を図り、超小型追尾カメラシステムフライトモデルを実現し、軌道上実証のために必要な、振動試験、熱真空試験などの評価試験を実施し、軌道上実証に備える。また、関連する大学と協力しながら、軌道上実証計画について詳細化を図る事を計画している。
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