研究課題/領域番号 |
22K04555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
三宅 里奈 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 上席研究員 (60618776)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 衝突リスク / 行動妨害ゾーン(OZT) / 潜在的衝突回数 / 船舶自動識別装置(AIS) / 海上交通工学 / 衝突頻度 / 海域評価 / AIS |
研究開始時の研究の概要 |
衝突発生頻度の推定手法は、評価対象である船舶数、位置および速度から算出される確率論的アプローチが現在広く用いられており、衝突発生頻度は潜在的衝突回数・避航失敗確率の積と定義される。本研究は、それとは異なる決定論なアプローチとして、評価対象の個々の船舶の遭遇の危険性を表現する危険度指標により衝突発生頻度を推定する手法を構築することを目的とする。従来、危険度指標を用いた安全性評価では、衝突発生頻度への換算はできず、リスク評価への適用は困難であった。 本手法はこれを解決し、例えばより衝突の危険性が低い航行対象海域の選定のための基礎資料としての活用が期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度(2年目)は、決定論的な衝突発生頻度を推定するため、個々の船舶の遭遇状況から潜在的衝突回数を推定する手法を検討した。まず評価対象の遭遇について示す。決定論的な危険な遭遇の識別方法として、個々の船舶の遭遇状況の衝突危険度を定量化する手法はさまざまあるが、初年度でNear Collisionの発生位置の分布と似た傾向にあるOZT(Obstacle Zone by Target)を選定した。OZTは自船の進路を妨げる可能性のある他船の将来の位置を表し、遭遇する船舶の状態量から計算できる。任意の船舶が複数船と同時にOZTに遭遇する状況を考慮し、任意の船舶が任意時刻に同時に遭遇する全OZTをOZT遭遇とし、これを評価対象とした。 次に潜在的衝突回数の推定方法を示す。OZT遭遇の回避、つまり避航について考えると、OZT遭遇が任意船舶の進路の正面直近で発生した場合は回避が困難で衝突する可能性が高いが、OZT遭遇が遠方や進路外で発生した場合は回避が容易であり衝突の可能性も低い。言い換えれば、OZT遭遇の衝突危険性が事象(衝突)が発生する確率であると仮定すると、個々のOZT遭遇で実際に衝突に至る期待値は、OZT遭遇の衝突危険性に等しい。本研究では、これを潜在的衝突回数と定義した。OZT遭遇の衝突危険性の評価にはOZT閉塞度を適用した。OZT閉塞度は、任意の船舶が遭遇した複数のOZT遭遇を考慮することができ、その船舶の進路が妨害される範囲が広いほど、また船舶とOZTの距離が近いほどOZT閉塞度の数値は高く、つまり衝突危険性が高いことを意味する指標である。以上より、潜在的衝突回数は、個々のOZT遭遇で実際に衝突に至る期待値であり、個々のOZT遭遇に対するOZT閉塞度に相当するとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
潜在的衝突回数の推定手法を検討し、そのアルゴリズムをプログラムに実装しており、概ね計画通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、決定論的な衝突発生頻度の推定方法の検討を行うとともに、本アルゴリズムをプログラムに実装し、任意海域における試計算と妥当性の検証を行う。なお、海域全体を航行する船舶のOZT遭遇の計算は、計算量が膨大であるため、一定の計算間隔でOZT遭遇を評価する場合が多く、潜在的衝突回数の推定結果への影響が課題であると考える。
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