研究課題/領域番号 |
22K04558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
佐藤 匠 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 研究員 (40805131)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 複数AUV / 自己位置推定 / TERCOM / AUV |
研究開始時の研究の概要 |
自律型潜水機(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)によって効率的に広範囲の深海底資源調査を行うには、複数機AUV同時展開による調査活動が非常に有効である。 本研究では、複数AUV間音響通信によって各々がリアルタイムに計測する地形情報を共有し、地形マップと照合して自己位置を推定するUTMN(Underwater Terrain Matching Navigation)を行うことで自己位置推定の精度を向上させ、外部からの支援に依存しない自己完結的な観測システムの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度では、昨年度に引き続きMATLAB/Simulinkによるシミュレーションを行った。まず、複数AUVによるUTMNの実施前段階として、AUV3機での潜航シュミレーションプログラムを作成した。AUVの基本機能であるウェイポイントナビゲーション、旋回待機機能に加え、音響通信・測位の模擬機能を開発し、AUV3機での同時潜航シミュレーションを実施した。また昨年度に提案した、高度情報が限定される状況での自機位置推定高精度化手法を3機同時潜航シミュレーションプログラムに対して実装し、有効性を検証した。 次に、AUV間の地形情報共有手法の検討を行った。地形情報の共有には音響通信が用いられるが、音響通信は電波通信に比べて伝送量や安定性が著しく低く、地形情報の送受信が困難である。提案した情報共有手法では、得られた地形情報に対して近似曲線を計算することで情報の伝送量を圧縮し、音響通信が貧弱でも情報共有を可能にする。提案手法の有効性を検証するため、複数のAUVの実海域試験データを用いたシミュレーションを実施した。海底地形データは実海域試験から取得した。音響通信による地形情報共有のシミュレーションにより、情報圧縮による通信負荷軽減の有効性と自己位置推定結果の有効性を検証した。 また、本年度の成果物としては、科研費期間開始直後に日本マリンエンジニアリング学会に投稿した、「複雑地形照合航法によるAUVの自己位置推定(マリンエンジニアリング59巻1号(2024)、p. 108-115)が出版となった。本論文は科研費課題の前段階として実施していた研究内容に基づいているものではあるが、科研費課題内容に大きく関連するものである上、査読対応については本科研費課題実施中に得られた知見に基づいて行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、MATLAB/Simulinkによるシミュレーション評価を行った。本年度のシミュレーションでは、複数AUVによる地形共有手法の検討及び、実海域試験データを用いたシミュレーションによる有効性検証まで実施することができた。 研究計画段階では、水槽での実証試験に向けて、ビークルへの実装・水槽試験の実施を計画していた。しかしながら、複数AUVによるシミュレーションの深化を実施することが最優先であると判断したため、実機実装対応は行わなかった。複数AUVの地形共有手法については、本研究課題の重要な一柱であると認識しており、様々なシミュレーションを通して十分な検討がなされる必要があると思われる。来年度においても、今までに取得した実機データを用いたシミュレーションを優先して実施予定であるため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、前年度に実施したAUVシミュレーション結果の取りまとめを実施しつつ、提案手法の深化を模索する。具体的には、所属する研究組織において様々なシチュエーションにおけるAUV潜航試験を実施してきたことから、本研究のシミュレーションに様々な実海域ログを組み込むことにより、提案手法の有効性を適切に評価できると考えている。 次に、シミュレーション終了後は、当初の所有する小型AUVに搭載するための実機実装手法の検討を行う。研究計画段階で計画していた実機実装による水槽試験での有効性検証についても、シミュレーション結果に基づいて再計画を行い、水槽試験条件の検討を行う予定とする。すでに取得済みの実海域試験ログの適用方法次第では、実機実装と同等の有効性検証が可能であると見込んでいる。 次年度に実施予定のAUVシミュレーションに向け、必要なMATLAB及びSimulink等の解析ソフトウェアや、実機実装用基板の購入を計画している。また、シミュレーションの状況によっては記録メディアが必要となる可能性は高いため、購入を計画している。これらの購入により、更に高度なシミュレーションの実施及び、実機実装検討の更なる推進が期待できる。
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