研究課題/領域番号 |
22K04559
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
小森山 祐輔 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 研究員 (90805110)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 波浪逆推定 / カルマンフィルタ / 波浪中船体構造応答 / 短波頂不規則波 / 有限要素解析 / 境界条件 / 捩り / 浸水 / 波プロファイルの同定 / 非計測船体応答の推定 / 損傷船体 / 縦曲げ最終強度の推定 / 座礁 / 衝突 / 構造強度 / 崩壊挙動 / 強度低下 |
研究開始時の研究の概要 |
船体の座礁・衝突から全体崩壊に至るまでの船体挙動は未解明であり、崩壊までの強度低下の予測方法も確立されていない。そこで本研究では、座礁・衝突後に船体がどのような崩壊過程を経てどのくらいの時間で折損・沈没に至るのかを明らかにすることを目的とする。目的を達成するために、座礁・衝突から全体崩壊に至るまでの船体挙動を時刻歴で再現可能な荷重・構造一貫解析シミュレーションシステムを整備し、システムの妥当性は縮尺模型による浸水実験や過去の崩壊実験の結果を用いて検証を行う。また、システムを用いて得られた崩壊挙動より、簡易かつ迅速に座礁・衝突後に時々刻々低下する強度を推定可能な手法を開発し成果普及を図る。
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研究実績の概要 |
2023年度は、損傷状態への適用も期待される短波頂不規則波中の船体が出会う波と非計測船体応答を推定する技術の開発、捩りによる反りを考慮した船体3ホールド(3H)モデルの境界条件の開発、浸水試験用の模型船の設計製作とシミュレーションを実施した。 短波頂不規則波中の船体が出会う波と非計測船体応答を推定する技術の開発では、短波頂不規則波に適用できるように、波周波数方向に加えて波向き方向にも離散化した成分波を線形重ね合わせしたモデルをカルマンフィルタ法に導入した。アクリル製弾性模型船を用いた短波頂不規則波中の水槽試験結果を用いて検証を行い、出会い波時刻歴、方向波スペクトル、非計測船体応答を推定できた。 捩りによる反りを考慮した船体3Hモデルの境界条件の開発では、3Hモデルを用いた荷重構造一貫解析を実施して全船モデルと同様な結果を得ることができれば、簡易的かつ高速に損傷状態も含めた波浪中船体構造応答を推定できることから、捩りにより生じる反り(捩りによる船体長手方向の変位)を考慮した3Hモデルの境界条件を開発した。提案手法では、理論式や7自由度梁のFEMにより3Hモデル端部断面の回転角の2階微分を推定し、その回転角の2階微分から計算される反り応力を用いて、端部断面に節点力を与える方法である。簡易的な断面形状であるU字型断面の一様梁モデルを用いた検証を行い、3Hモデルに提案手法を適用することで、全体モデルと同様な捩りによる反り応力を推定できた。 浸水試験用の模型船の設計製作とシミュレーションでは、浸水試験用に長さ270mmのホールドを7つ有するアクリル製の模型船を製作した。各ホールドの底部には、10mm~30mmの穴を有し、各穴の栓を外すことで浸水試験が可能なモデルである。シミュレーションではSPH法を用いて本模型船の浸水シミュレーションを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、損傷船体への適用も期待される短波頂不規則波中の船体が出会う波と非計測船体応答を推定する技術、船体3Hモデルの境界条件、浸水試験用の模型製作とシミュレーションなど、各要素技術に関する研究を進めることができ、概ね順調に研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでに開発検証を進めてきた要素技術を用いつつ、座礁・衝突後の損傷船体の強度低下推定システムを構築する。損傷後の船体の浸水挙動については、アクリル製模型船を用いた浸水試験を行い、検証用のデータを取得し、SPH法で推定可能かどうか検証を行う。そして、浸水中に変化する船体荷重を推定する手法を開発する。FEAを用いて座礁・衝突による船体の損傷解析を行い、その後、損傷した船体モデルに波浪荷重を負荷し、強度が徐々に低下する状態を解析する。そして、強度低下量を簡易的に推定可能な手法を開発する。最後に、浸水中船体荷重推定手法と強度低下推定手法を組合せ、損傷後の強度低下量を推定するシステムを構築する。
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