研究課題/領域番号 |
22K04565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
新井 励 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60508381)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ADCP / 浮遊懸濁物質 / 濁度 / 水中画像 / CNN / センサーフュージョン / 動物プランクトン / 水中音響 / 多変量解析 / 浮遊懸濁物質濃度 |
研究開始時の研究の概要 |
海水中の浮遊懸濁物質の情報は,水産資源分野では稚仔魚の加入量や乱獲を防ぐ漁業資源管理に,海洋開発分野ではメタンハイドレートや熱水鉱床開発の管理に,沿岸環境では浚渫・埋め立て工に伴う底泥の巻き上げ,河川からのマイクロプラスチックや土砂流入といった環境管理にと多岐の分野に渡り社会的ニーズがある。しかしながら,現場計測できる浮遊懸濁物質の指標は光学式濁度計による「濁度」のみであり,浮遊懸濁物質の情報量が圧倒的に不足しているのが明らかであり,本申請課題はこれを解決すべく手法の開発である。
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研究実績の概要 |
本申請課題の目的は,3次元超音波流向流速計(Acoustic Doppler Current Profiler,以降ADCPと呼ぶ)と光学式濁度計,水中カメラをセンサーフュージョンすることで,海水中の浮遊懸濁物質の濃度,粒子径,種類(動物プランクトン,植物プランクトン,稚仔魚,マイクロプラスチックを含むその他懸濁物質)を計測する手法の開発である。 前年度は,ADCPの浮遊懸濁物質に対する応答を解明し,物理モデルで表現した。 本年度は,まず,水中カメラによる撮影画像から,自動で動物プランクトン,その他懸濁物質を判別するアルゴリズムを開発した。画像判別にはAIで用いられる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用した。CNNによる画像判別が難しい場合には,画像の特徴量(動物プランクトンならヒゲ形状,植物プランクトンならクロロフィルの緑色など)からマハラノビスの距離などによる判別法も試みた。また,画像から各種浮遊懸濁物質の画像を切り取り,面積を利用することで粒子径を同定することができた。 次に,水中カメラを内蔵した現場型動物プランクトン計測器を開発した。水密の筐体に,CMOSカメラとしてArduCAMカメラモジュールを,制御回路にはArduinoUnoを搭載することで水中撮影を可能とした。さらに,送液ポンプで動物プランクトンを含む海水を撮影部のフローセルを送液することで海水中の動物プランクトンの撮影を可能とした。 最後に大阪府泉佐野市りんくう公園内海において実海域における動物プランクトン計測を実現した。同時にプランクトンネットで採取した動物プランクトンを計数し,計測値の妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目にして海水中の動物プランクトン撮影を実現したため概ね順調に進捗している。 本研究で開発した現場型画像撮影装置により計測した実海域の動物プランクトン個体数と実海域でプランクトンネットで採取した動物プランクトンの計数結果が良好に一致したため、本画像撮影装置の妥当性が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、開発した水中画像装置、光学式濁度計およびADCPの浮遊懸濁物質に対する応答の相違を解明する。これらの装置を同時に海域に設置し、海水中の浮遊懸濁物質に対する音、画像、光の応答を計測する。得られた計測値に対し、これら計測装置の物理的相関や相違を利用し(各計測値を説明変数として),重回帰や主成分分析を用いセンサーフュージョンすることで最終年度の成果とする。得られた成果は卒業論文や修士論文、さらにはジャーナル投稿することで公表する予定である。
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