研究課題/領域番号 |
22K04570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
松倉 洋史 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 研究員 (30373418)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 南海トラフ地震 / 復旧・復興物資 / 海上輸送 / フェリー/RORO船 / 配船計画 / 遺伝的アルゴリズム / LLGA / 復興物資輸送 / フェリー/RORO |
研究開始時の研究の概要 |
南海トラフ地震の被害は極めて広範かつ甚大となる可能性が高い。発災後、通常量を大きく超える膨大な支援物資や復旧人員・資機材の輸送需要が発生する一方、発災後しばらくは地震被害により輸送力が大きく低下するため、大幅な輸送の需給ギャップが生じると予想される。 対策の一つとして、非被災港を中心としたフェリー/RORO船隊による国全体として組織化された大規模輸送が有望と考える。その迅速な立ち上げのため、遺伝的アルゴリズムとマルチエージェント型の物流シミュレーションを組み合わせ、多様な制約条件を満たしつつ、高性能な配船計画を自動設計する手法を研究する。
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研究実績の概要 |
南海トラフ地震後のプル型輸送期や復旧・復興期では、大量の輸送需要に対しトラック輸送力が大幅に不足する可能性がある。そこで本研究では南海トラフ地震のプル型輸送期以降を想定し、非被災港を中心としたフェリー/RORO等の船隊による組織化された大規模輸送の配船計画作成手法を開発する。 初年度は、文献調査等を実施しフェリー、RORO船及び一般貨物船を対象に物資輸送へ利用可能な船腹量の長期評価を行った。その結果、当該期間において適切な対策を取ることで必要量を確保可能であり、今後とも有望であることを確認した。 本年度は更に調査を進め、抽出した課題に対応できるような発災後の輸送システムを構想した。これは、一元的な予約サイトをWeb上に構築し、トラック輸送会社が予約希望を出し、それを基に1~2週間程度先までの配船計画を逐次作成して予約可否を通知するというものである。理由としては、発災後は経済・社会的な混乱が予想されること、復旧・復興の時間経過によって貨物の内容・発着地及び量が変化していくこと、前例のない輸送需要かつ様々な被災パターンがありえることから事前の予想が難しいこと、それにも関わらず迅速な輸送が望まれることなどがある。 続いて、必要な機能や性能等の仕様を検討して配船計画システムを設計し、鋭意開発を進めた。その際、時間変化する多様な船隊を扱う必要があることから、遺伝的アルゴリズム部分ではLLGA(Learning Linkage Genetic Algorithm)の考え方を取り入れ、(通常みられるような棒状ではなく)円環状の染色体を想定した上で本システムに適合するよう様々な工夫を加えた。 上記検討の結果、重要な遺伝子セットは互いに集合する性質が見られたことから、遺伝的アルゴリズムの有用性の根幹の一つをなす「積み木」の生成に関して本アプローチは有望であると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の開始初年度に文献調査等を進めたところ、震災後にどの程度の船腹量のフェリー/RORO船を利用可能かに関する定性・定量的検討が殆ど行われていないことが明らかとなった。必要な船を確保できることは本検討の前提ともいえ、また将来社会実装を考える際にも基盤となるものと考え、研究の有用性を上げるべくまずは当初計画にはない上記の検討を行った。それにより遅れが生じたため、本年度は可能な限り挽回すべくエフォートを追加したが、まだ当初計画に完全には追いつくには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在は進化機構・輸送シミュレータともに基本要素を備えた基本システムの開発を終え、試評価を行い、結果をもとに改修を加えているところである。必要な対応をすすめ、それが終わり次第、詳細評価及びシステムの性能向上、全体評価を行う予定である。
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