研究課題/領域番号 |
22K04585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松林 伸生 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00385519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | サプライチェーンマネジメント / 行動経済学 / ゲーム理論 / マーケティング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、サプライチェーン上の、特にプラットフォームを利用して製品を供給しようとする企業間の戦略的意思決定について、行動経済学の知見を援用した新しい理論モデルを構築し、それを解析することで新たな示唆を得ることを目的とする。プラットフォームとは、多数かつ多様な売り手と買い手が一堂に会する場であり、ゆえに消費者も含めた各意思決定主体間に生じる認知バイアス等の非合理性の存在による影響が近年注目されている。このような行動経済学的知見を踏まえた上での意思決定のためのモデルを構築・分析することで、サプライチェーンマネジメントに関する従来研究を発展させ、より先端的な理論的成果を得ようとするものである。
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研究実績の概要 |
交付申請書に記載した研究実施計画を踏まえ、本年度は具体的に以下の研究成果を得ることができた。 1.昨年度より継続し、ブランド力のある企業が「brand spillovers」(BS)を前提とした上で、新製品に関してどのような品質決定とブランディングを行うべきかに関する意思決定問題に取り組んだ。具体的に、BSを所与とし品質決定に重点を置いたモデルの分析については、論文掲載を完結させることができた。その上で、ブランディング戦略に相当するBSの程度をコントロールできる問題について、独占企業が単一製品を提供するモデルから、競合企業の存在するモデル、並びに独占下で複数製品を提供するモデルへと拡張することを行った。興味深い結果として、BSの生じ方に関して消費者の異質性が強い場合、独占的な市場においてはサブブランド使用のようなBSの程度を適切に抑える戦略が最適となる一方で、競争下においてはむしろBSを強化することが有利となるという、対照的な示唆を得ることができた。 2.営利的なプラットフォーム企業が存在するもとでのサプライチェーンマネジメントに関して、昨年度研究を進めた、プラットフォーム小売企業と複数の製造業者との間で販売データを共有する提携の形成可能性に関する成果について、論文掲載を完結させることができた。加えて、動画ストリーミングやオンラインゲームといったプラットフォームを介したコンテンツビジネスに顕著に見られる、消費者間での社会比較効用や利他的効用の発生を考慮した場合の、サプライチェーン上の企業の意思決定問題について、モデルを構築し、分析することに着手した。これについては、次年度集中的に研究を行う予定であり、上述の提携に関する知見と併せることで、研究課題に関する有益な理論的示唆を得ることを目標としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書において「研究実績の概要」の1項に記載の内容については、まず2022年度に取り組む計画としていた研究については、既に学術雑誌に掲載させることができた。2023年度に取り組む計画であった内容についても、次年度に成果を論文としてまとめ、投稿できる予定である。また、「研究実績の概要」の2項に記載した内容についても、2023年度に取り組む計画としていた研究の一部については、既に学術雑誌に掲載させることができた。以上により、「おおむね順調に進捗している」との自己評価に至った次第である。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」の項に記載したように、今年度の研究成果に関する論文の公刊に向けては今後とも引き続き推進していくことが不可欠である。一方で、交付申請書に記載した内容に則り、次年度についてはこれまでの成果をベースに、プラットフォームとしてのビジネスモデルにまで踏み込んで、サプライチェーンマネジメントの問題についてより集中的に取り組み、研究課題に関してより先端的な分析を推進していく。交付申請書の内容に変更はない。 なおいずれの場合も、本研究の大部分が研究代表者個人による机上検討であり、また随時タイムリーな情報取集・成果発表を行うべく、国内外の研究発表会への参加やインパクトの高い学術雑誌への投稿を計画すること、そしてその遂行のために大学院生を中心とする研究協力者の協力を予定していること、等についても交付申請書に記載したものから何ら変更は無い。
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