研究課題/領域番号 |
22K04589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
浦谷 規 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (80126268)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 大災害 / コロナウィルス・パンデミック / 災害対策資金 / 災害金融問題 / Cat Bond / 大災害復旧資金 / 災害保険 / リスク管理 / 金融システムリスク / 極値理論 / 財政赤字 / 大災害リスク管理 |
研究開始時の研究の概要 |
公的債務残高の対名目GDP比率は2020年末には266%となっている。財政赤字の要因には、高齢化の急速な進展による年金・医療・介護費用の急拡大に起因することに加えて、阪神・淡路大震災、東日本大震災や巨大台風などに対する復興経費の拡大もある。さらに、南海トラフ地震とその巨大津波は今後の心配な要因である。日本を襲う自然災害などの巨大災害の復興に、世界銀行が導入しているキャットボンドの活用を提案する。Cat Bond をオプション理論によって分析し、その理論的特性を明らかにする。さらに、巨大災害の支援・復興経費に資本市場を活用するCat Bond導入によって、財政負担軽減の可能性についても検討する。
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研究実績の概要 |
コロナウィルス・パンデミックは経済活動を縮小させ、資金循環が停滞した。その影響は中小企業を直撃し、その対策として政府はいわゆる”ゼロゼロ融資”によって3年間実質無利子で無担保融資さらに保証料ゼロの企業融資が行われ、その返済が2023年7月から始まっている。総額43兆円以上の融資が日本政策金融公庫と地銀および信用金庫などによって実行された。この融資スキームのストレス分析をRama Cont & Schaaning 2017 のモデルを簡素化し実行した。貸出金の焦付きが地銀の保有する有価証券の売却 Deleverging を引き起こし、その影響は証券市場の価格下落、さらなる証券の売却の連鎖が想定される。このストレス・モデルによって、2021 年の地銀データを縮約した数値に対してシミュレーションを行った。想定できるシナリオとそれから発生しうる事態に対するリスク管理対策を検討した。データは2023年第1四半期の資金循環(日本銀行)および各行別財務諸表(貸借対照表・損益計算書)2021年全国銀行協会を用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初に想定した南海トラフ地震などに対するCAT Bondの単なる仕組みとその特徴の評価だけでは不十分なことが現実に起こったパンデミック被害によって、金融および保険の機能の連鎖的影響を解明する必要が明らかになった。そこで、更に基本的な問いであるCatastrophe Risk managementとして金融保険、再保険、証券としてのCAT Bondの基本的問題を基礎とする研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
大災害の保険としてCat Bondという証券化を用いて証券市場を利用する方法と保険会社が更に保険をかける再保険市場の理論的研究を比較する。理論的には A.Subramanian et Wang J.の2018, 2015,2013年の論文を参考にしながら、我が国の大災害である阪神淡路、東日本震災、そしてコロナ災害の救済がもたらした金融債務の特性とその返済に起こりうる問題への対策を調査・研究する。
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