研究課題/領域番号 |
22K04600
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
今井 哲郎 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (10436173)
|
研究分担者 |
田中 敦 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (30236567)
藤山 英樹 獨協大学, 経済学部, 教授 (80327014)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 戦略的ネットワーク形成 / 感染症伝播抑制 / ピグー税 / 動学的ネットワーク形成ゲームモデル / 社会ネットワーク / 複雑ネットワーク / ネットワーク科学 / 社会ネットワーク形成 / 感染症伝播 / シミュレーション / 内部化 |
研究開始時の研究の概要 |
COVID-19の世界的蔓延の長期化を受け,社会ネットワーク形成においては,社会・経済活動のための個人合理性と,感染症拡大抑制のための社会合理性のバランスを両立させることが重要である. 本研究では,両者の適切なバランスをもたらす望ましい社会ネットワーク構造を誘導する手法を確立するために,社会合理性の低下をリンク形成コストとして反映する手法を開発し,各種シミュレーションを通してその効果を検証する.
|
研究実績の概要 |
本研究課題では,感染症の拡大段階に応じて,個人の自由意志に基づく社会・経済活動のための社会ネットワーク形成と社会合理性に基づく感染症拡大抑制のための社会ネットワーク形成を,うまくバランスを取って両立させることを課題と捉え,個人利得最大化と感染症拡大抑制の効果を定量的に評価するためのモデルの確立,両者を両立させるための適切なバランスの取り方の解明,適切なバランスをもたらす望ましい社会ネットワーク構造へ誘導するための政策手法の確立,を研究目的としている. 当該年度では,以下の成果を上げた. ・社会ネットワーク形成において,各ノードが自身のネットワーク中心性を高めるという個人合理性と,ネットワーク全体の構造から導かれる感染症伝播効率を下げるという社会合理性との間のジレンマや両立可能性を検証を行うためのモデルを,以前研究代表者らによって提案された動学的ネットワーク形成ゲームモデルを用い,利得関数を適切に設定することによって作成した.また利得関数に関するパラメータの変化が生成されるネットワーク構造にどのような影響を与えるかについて,小規模のネットワーク形成シミュレーションによって検証した.研究成果は現在国際会議へ投稿中である. ・ネットワーク構造と感染症伝播の効率性をシミュレーションを用いて評価するとともに,トリガー付き社会的壺モデルによる知識発見シミュレーションモデルによって,社会ネットワーク構造の最適性の評価を行った.またこれらを両立するネットワーク構造を獲得するための探索アルゴリズムについて検討を行った. この研究成果については,2023年2月のネットワーク生態学シンポジウムにおいて発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画では,当該年度には1.ゲーム理論に基づく社会ネットワーク形成モデルにおけるピグー税/ピグー補助金の考え方による利得制御手法の確立,2.社会ネットワークの感染症伝播効率の評価手法の確立,の2点を進めることが挙げられていた. このうち1.については,当該年度に動学的ネットワーク形成ゲームモデルに基づく社会合理性と個人合理性の間のジレンマを表現するネットワーク形成モデルを構築した.このモデルは利得関数のパラメータ調整によって社会合理性と個人合理性の強度を制御することができるものであり,次年度に予定している定量的な制御手法の検討に繋がる成果である.また2.については,社会ネットワーク構造と感染症伝播効率の関係について,一部未だ不十分な点はあるものの,比較的計算量の小さい評価指標に関する評価・検討を実施することができた. 以上より,概ね順調に進展していると評価できる.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の遂行は概ね順調に進んでいる. 今後は,当初の研究実施計画通り,当該年度で確立したモデルによる社会ネットワーク形成シミュレーションと感染症伝播シミュレーションを通して,適切な社会ネットワーク構造を誘導するための利得制御の強度と効果のバランスについて検証していく.
|