研究課題/領域番号 |
22K04610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦夫 南山大学, 理工学部, 教授 (70162922)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | スケジューリング / ヘルスケア / 手術室管理システム / 看護師シフト作成 / 看護師 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で取り扱うのは、病院の手術室に関するスケジューリング問題の解決方法である。手術室に関するスケジューリング問題は、手術室スケジューリング(手術室への手術の割当)、麻酔科医・看護師のシフト作成、手術への麻酔科医・看護師・器具の割当である。これらの問題の解法を個々に考案するだけでなく、これらの問題の相互の関連を明らかにして、手術室に関するスケジューリング問題を統合的に扱えるようにする。成果をPC上に実現し、現場からのフィードバックをもとに改良を重ね、最終的には、手術室管理システムの一部として実現する。これによって、新型コロナウィルスで効率化が迫られている病院の管理運営に貢献することができる。
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研究実績の概要 |
手術室に関するスケジューリング問題のうち、看護師のシフト作成問題について、整数計画法と機械学習の手法を用いた新たな方法を考案した。現在、その有効性を検証しているところである。看護師のシフト作成問題は「ナーススケジューリング問題」と呼ばれ、解決するのが困難な問題として知られている。過去多くの研究が、問題を整数計画法として定式化して解かれているが、実際に病院の現場には導入されていない。その理由は、実際に看護師長が作成するシフトには、整数計画法で求めたシフトは不適切なところが残ってしまっているからである。それは、看護師長が言語化できないノウハウを用いてシフトを作成しているからである。そこで、本研究では、整数計画法を用いて作成した看護師のシフトを看護師長に修正してもらい、それを訓練データとして、機械学習によって修正する方法を考案した。この方法によれば、看護師長が言語化できないノウハウも、シフトを修正することによって、機械学習で蓄積され、訓練データを多数準備すれば、看護師長が現場で採用できる水準の看護師のシフトを作成できることが期待できる。 現在、Pythonによって、システムを実装し、訓練データを準備して、機械学習によってシフトを修正している。途中経過では、訓練データによってシフトが修正されることがわかっており、今後、訓練データを積み重ねることによって、最終的に実用的なシフト作成システムが完成できると期待できる。 また、手術室の手術のリスケジューリング、麻酔科医の手術への割当の問題についても研究を開始している。これらの問題は整数計画法として定式化しており、最適化ソフトウェアを用いて解を求めている。現在は、現場で取り入れられるように定式化を修正している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護師のシフト作成について、得られた成果の一部は、研究上有用な成果である。この成果は、国際スケジューリングシンポジウムで研究発表を行い、「ナーススケジューリング問題」のあらたなアプローチとして注目を浴びた。現在、訓練データによって、機械学習のパラメータの修正を進めており、現場で利用可能なシフト作成システムに向けて研究を進めている。 その他の手術室に関するスケジューリング問題として、手術のリスケジューリング問題、すなわち、手術に遅れが出たときのそれ以降の手術の開始時刻、手術室の変更を自動的に行うシステムについても整数計画法としての定式化を行っており、実用に向けて研究を進めている。また、麻酔科医の手術への割当問題についても、整数計画法の問題として定式化しており、Python上で稼働する最適化ソフトウェアで解を求めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究を進める予定である。まず、看護師のシフト作成について、実際にし病院の現場で利用可能な実用的なシステムにするように、訓練データを積み重ね、機械学習を進める。ある程度システムの完成にめどがついたところで、実際に病院からの看護師のシフト作成のデータを得て、システムが作成したシフトの実用性を検証する。 手術のリスケジューリングについては、定式化を検証したのち、システムとして実現する。実際に病院からデータを得て、システムが実用に耐えうるかどうかと検証する。もし、不足するところがあれば、定式化を見直すか、システムの実現方法を見直し、現場での試用を経て、実用化を行う。 麻酔科医の手術の割当については、すでにシステムを作成しているので、現場のデータを用いて、実用性の検討を行う。その後、現場での試用を経て、もし、不足するところがあれば、定式化を見直すか、システムの実現方法を見直す。
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